ブラックな商法はやめよう

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私なりにハードを実際にかかった値段より安くしてお得感で演出し消費者に購入させたのちに、消耗品で儲ける商法を「ジレット商法」と呼んでいる。ジレットが髭剃りキットを売り出した時に、購入層を増やすためにとった戦略だからだ。カミソリ自体は安い、と誰でも思う値段だが、替え刃を買う時に「高い」と実感して、「やられた」ことに気がつくのである。



ブラウンクリーニングシステム

VW不正に揺れる欧州だが一流企業の中にもブラックな会社がたうさんあるので、ブランドに惑わされないようにしないといけない。典型がブラウンシェーバーのクリーニングシステムである。水洗いできるのだが急いで家を出たい朝、このシステムは有用だ。刃先を下にして突っ込めば電源をいれると自動で洗浄、乾燥し型式によっては殺菌消毒までやってくれる。


頼もしいシステムなのだが電源をシェーバーに供給するときに3つのコネクタがあるのにお気づきだろうか。このうちしっかりした2本は金属製で電源であるが、もうひとつはコネクタが金属蒸着でこれが信号線である。クリーニングシステムとの間で情報を交換するこのラインがないとクリーニングシステムは動かない。ところが度重なる使用でこの蒸着部分は剥げ易くなくなると動かないのでパニックになる。



シェーバーのコネクタ

蒸着部分を導電材料で補強すればいいのだが、なぜ壊れやすい金属蒸着を使うのかというと、それがいわゆる「時限爆弾」だからだ。またクリーニング溶液が型式が違っても共通なのであるがこれが高い。ジレット商法である。


ソニケアはフイリップスの商品で1万5,000円以上のタイプは申し分ない動作なのだが、あるとき旅行にいくために安価な機能が制限された「イージークリーニング」を購入した。amazonの評価でメカは同じで格安だ、というコメントを信用したためである。しかし両方を使うと振動数とストロークが異なり水しぶきの飛び方がまるで異なることに気がつくはずだ。格安なのは認めるがメカは安っぽく性能はでてないはずである。



キャノンインクジェットプリンタ

まだある。キャノンインクジェットプリンターのインク。インク切れ警告ランプと実際の残量が関係ない、ことにお気づきと思う。インクの量のセンサーを反映した警告になっていないからだ。この問題についてはネットやYoutubeで多くの報告があるのでここでは立ち入らないが、ここで指摘したいのはどうやっても「時限爆弾」が巧妙にしかけられていると考えざるを得ないほど壊れる。修理費用は新品購入費用の80%にどういうわけかほぼ等しい。



ブラザーレーザープリンター

プリンタといえばブラザーレーザープリンターはトナーとそれが取り付けられるドラムを購入すると約8,000円で本体価格が約10,000円。新型で11,000円。トナーを使い切らないうちにトナー切れ警告灯がつく。これを無視する方法がネットにあふれている。ドラム交換メッセージも怪しい。ドラムを交換してもメッセージがでるからだ。これも対処法がネットにある。しかし「時限爆弾」であれば修理すると購入価格の8割に悩むだろう。あと2割で旧型の、3割で新型を買う羽目になれば多くの人は新型に買い換える。


このようにして消耗品と時限爆弾を使い企業は製品の持続的販売を手にいれることになる。このあたりの巧妙さはVWの不正と同じくらい手が込んでいる。企業ぐるみのブラックな商法はそろそろやめてほしいと思う。