エアラインの女神たちーその2

エア

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ルフトハンザの女神には3回お世話になった。それらについて簡単に紹介したい。筆者が長距離フライトでルフトハンザを選ぶのもエアラインの女神たちにたびたび出くわすからだ。

 

 

Pt.1ー最新のエアバスA380でBOSEをなくす

エミレーツのように100機ものA380フリートを持つところとA380に全く興味を示さないエアラインに極端に分かれるが、ルフトハンザは競合する747アップグレード機も含めて多彩な機種を揃えA380も主な路線に就航させている。成田ーフランクフルト路線は同社が力をいれていてA380の就航と同時に拠点であるフランクフルからとった「フランクフルトアムマイン」という愛称を与えた特別のA380を飛ばした。

 

筆者はドイツ出張でもちろんルフトハンザを選んだので、就航1カ月後でこの新型機に乗ることができた。新型機に舞い上がったためか、うっかり機内に愛用のBOSE QCノイズキャンセリングヘッドフォンを置き忘れた。空港でルフトハンザのグラウンドサービスに駆け込んだ。応対した彼女は微笑みながら機内の忘れ物は全てフランクフルトのLost&Foundに届くので、帰りに立ち寄ってくれ、といわれた。彼女の言葉には機内の忘れ物は必ず戻って来るという相当な自信があったので安心した。案の定、筆者のBOSEとフランクフルトで再会できた。「エアラインの女神」に感謝したことはいうまでもない。

 

 

Pt. 2ーフミチノで途方にくれる

そのときは結構、複雑なフライトスケジュールだった。シシリー島のパレルモに行くにはローマのフミチノ空港からアリタリアに乗り換える。パレルモ空港はリゾート感覚なので全てが「たるんでいる」のは仕方がないとして、フミチノのアリタリア職員は最悪だ。休日にはほとんどいなくなる。トランジットカウンターにも人影がない。バゲッジクレームにも職員はいない。もっともミラノ空港職員が泥棒であったイタリアにすればそれよりましだといわれるだろう。アリタリアの評価が低いのはこういう理由なのか。こことアエロフロートでは「エアラインの女神」を見出す確率はゼロに近い。

 

バゲッジが出てくるのに小一時間要したおかげて、コペンハーゲンへのルフトハンザ便への乗り継ぎができなかった。そこでルフトハンザのカウンターへ行き次の便を手配してもらった。その日の便を見つけ出してもらったのでトラブルは解決した。このときの素晴らしい対応は「エアラインの女神」と呼べるものだった。フミチノ近くのホテルは何としても避けたかった。

 

 

Pt. 3ーフランンクフルト空港の秘密

ルフトハンザの拠点はフランクフルトである。巨大な空港だが広すぎる。ミュンヘン空港にはビール工場があるときいたが、立ち寄ったバーのドイツビールはひどかった。ドイツ人の友人はシュツットガルト空港を使うように勧める。たしかにこちらもドイツらしい対称性にこだわった建築デザインなのだが、こじんまりしていてはるかに快適だ。しかし現実には便数の関係でフランクフルトを選ぶ羽目になる。

 

フライトに遅れが出たため乗り換えが間に合わなくなりそうだった。15分でパスポートコントロールを抜けてゲートに到達することは不可能と思われたからだ。そいう状況でも全力疾走するアメリカ人もいるかもしれないが、冷静に考えて無理だ。そこでトランジットカウンターに駆け込んで乗り継ぎに間に合わないことを伝えると、静かにちょっと待って、といわれた。微笑みでわかった。「エアラインの女神」だと。

 

やがて黒ずくめのSWAT隊員のような男たちがどこからともなく現れて電気自動車に乗せられた。車は空港内を駆け抜けて地上階の薄暗い場所に止まった。そこに特別のパスポートコントロールが設置してあった。あっという間に審査を受けて乗り継ぎ便に乗ることができた。

これがルフトハンザの「エアラインの女神」に助けられた3回目である。その後もこのエアラインを使い続けることになったのはいうまでもない。ちなみにフランクフルトで問題は毎年恒例の社員ストライキ。この日だけは「女神」あらわれないことを記しておきたい。