Dunkin' Donutsで救われる?


 不気味なほどヘビーなクリーミードーナッツが出現する前の米国でドーナッツ界はDunkin' Donutsとご存知Mister Donutsに分かれていた。おもしろいことにドーナッツはこの2大チェーン店のどちらもマサチューセッツ州が発祥の地である。


 何故、東部でドーナッツなのかは、簡単な話で両者ともユダヤ人が始めたからだ。そう、ユダヤ人の好きなベーゲルが出発点なのである。


 全米に広がったふたつのチェーン店ではあるが、Dunkin' Donutsは6,000店舗という割には東部に多く、どんな田舎町に行っても必ず見つかる。


 驚くべきことに西海岸にDunkin' Donutsができたのは最近らしく、Youtubeで紹介されていた。両者は味に相当な差がある。Dinkin' Donutsは空気を多く含むフワフワ感とそのためか実に軽い。Miter Donutsはこれに比べればヘビーだ。


 さてDunkin' Donutsは若者がたむろする街の社交場、情報交換の場所であった。そういえば私はかつてここで救われたことがあったっけ。コネチカットの田舎町に毎年夏ホームステイしていた頃、JFKで夕方にHarzレンタカーを借りて当時は穴ぼこだらけのI95を北進し、Norwalk Exitを出る頃には真っ暗になる。


 田舎道は暗くなると絶望的に暗いが、いつも心細くなった頃にピンクの照明が目に入る。光に集まる虫のように吸い付けられると、店の中には若者がいっぱいで楽しそうにおしゃべりしている。いつもこの店で道をきくのが習慣になっていた。くったくのないアメリカ人はおせっかいで細かい指示してくれた。


 だから私にとってはDunkin' Donutsは救いの女神だったのだ。ついでに買ってお腹もいっぱいになれば独りドライブも楽しくなる。


 日本からDunkin' Donutsが去ってしまったので寂しくなった。是非、復活して欲しい。時々、忘れてMister DoutsでDunkin' Donutsにしかない種類を注文してしまうと店員が怪訝そうな顔をする。