空港は世界の縮図ー国境の終焉

  

 空港は世界の縮図に成りつつある。どの主要空港もキャパシテイのギリギリの運用で空港内は各国の旅行客でごったがえしている。

 

 いつから空港は戦争直後の駅のようになってしまったのか。国際空港でおそらく最も民族衣装がみられたのは70年代のJFK空港だろう。アフリカの民族衣装をまとった国連関係者と思われる黒人たちをみることが多かった。

 

 ヨーロッパではシャルルドゴールやスキポール空港も民族色豊かであったが、彼らはその国を代表する人たちであり、富裕層であったので問題は起きなかった。

 

 空の大量輸送時代は大型ジェット旅客機で一度に300-400人を運ぶことができるようになり、採算性を出すためにエアライン同士が熾烈な価格競争に入ると、年々旅行客と発着便数が増大を続けた。

 

 LCCにより低価格化の傾向がさらに強まると、空港は乗客で溢れかえり、中には不法移民や密輸人もいてパスポートコントロールで入国拒絶、その先の税関で密輸が摘発されている。

 

 空港機能も離発着スケジュールが立て込んでいるので、天候でキャンセル便がでれば空港内は疲れきった旅行者で溢れる。昔の話で恐縮だがフライトを逃してもカウンターに戻れば笑顔で次の便を手配してくれたものだが、満席での運行が当たり前になると、(特にLCCでは)翌日のフライトとなる。

 

 飛行機に乗り遅れるのは自分に責任があるが、昔は高額の搭乗券のお客として丁重に扱われていた。いま外国の空港で余裕があったら周囲をみまわすと、靴さえ履いていない旅行者がうろうろしている。彼らが全て違法移民であると決めつけるわけではないが、国境が消失した世界の縮図になっている。

 

 不法移民や不法労働者の増加としかし空の大量輸送時代は関係があることは間違いない。