クラコウのベーグルーobwarzanek

 

 ポーランドの古都クラコウでぼんやりバスに乗っていて妙に気になる屋台があったので写真に収めた。高齢の男が街中で屋台、というのも気になった。

 

  あとでわかったことなのだが、高齢者が青い色の屋台、に意味があったのだ。これはクラコウの伝統的なオブヴァジャーネックと呼ばれるパンを売る店で、屋台を開くには市のライセンスがいるという。

 

 ベーグルの起源と考えられるこのパンは14世紀からつづくこの地の伝統B級グルメで、ライセンスをもらった業者が、高齢者を雇ってクラコウのシッボルカラーの青い屋台で販売しているのだそうだ。

 

 ユダヤ人の食文化で世界的に流通したベーグルの祖先だけに、発酵してから一度ゆでる、ところは一緒である。

 

 バター、牛乳、卵フリーは現代のアンチコレステロール文化にマッチして、オーガニック食文化の一角を築いたベーゲルはこんなところに祖先がいたことを知った。

 

 売られているオブヴァジャーネックは、もっとパンに近く平べったくてそのまま食べるよりはベーグル流にクリームチーズや、さらにサーモンと一緒なら美味しそうだ。

 

 高齢者たちもクラコウの食文化に誇りを持っているようで、さしずめニューヨークのホットドッグスタンドのように、なくてはならない存在になっている。

 

 キリスト教徒の断食節であるレントの期間にポーランドのキリスト教徒が食べるパンであったこのパンにバターや牛乳、ミルク、卵がはいらない質素さということは理解できる。

 

 キリスト教の断食はイースターの前40日間だそうだが、何となくラマダンを想起させることはふたつの宗教の意外な?プロキシミテイを意味しているようで興味深い。