お昼のビールで仕事がはかどる

 

 ロンドンのパブは日常に深く入り込んでいる。その点で日本の居酒屋と少しばかり違う。どちらかといえば欧州一般にみられるカフェに近いかもしれない。もちろん天候の悪い日が多いここロンドンでは、テラス席は珍しいのであるが。

 

 ランチをとるビジネスマン、話に興じる学生などが思い思いに時間を過ごしている。ランチではビールをさりげなく注文しても、目立つことはない。

 

 ところでロンドン(というか英国)のビールは冷えてない。これは湿度が高く体温を奪われるため体を冷やさない効果があるというが、私にはどうも別の理由もあると感じている。

 

 米国や日本ではビールはギンギンに冷やして、一気飲みをする人が多い。これは喉を\通る時の爽快感重視といえるのだが、ここではゆっくり飲む。味わって飲む、そんな感じがぴったりする。

 

 パブのカウンター席は居心地が悪くない。注文する時にビールサーバーをちらりと見て\銘柄に納得したら、注文する。ラガーかビターの2択である。ビターの方が少しだけ冷えているがラガーは室温である。

 

 ところでランチタイムのビジネスマンたちを観察していると、年配の上司は迷わずビールを注文している。ランチが終わる頃にはちょうど空になる絶妙のタイミングである。つまり水代わりということか。

 

 私も英国の会社を訪れるとこうした人たちに誘われて同席することがある。上司は何か飲みますか、ときいてくるが気配を察した私はビールと答えると、ほっとした顔でちゃっかり\自分の分を入れて注文している。

 

 ランチに飲むビールは格別である。身も心も軽くなり政治家の悪口を魚にその場が盛り上がる。時間がくればだらだらということはなく、皆陽気に持ち場屁と返っていく。

 

 きっと彼らは安給料と高い\税金をけなしてはいるが、こうして楽しい\ランチタイムを過ごせる会社に満足しているのだと思った。

 

 ランチにワインというのがフランスだとしたら、ランチにビールという点では間違いなく英国とドイツは呉越同舟だ。