激しさを増す反トランプ派の正体

20.01.2017

Photo: itsgoingdown

 

 トランプ大統領就任式を20日に控え、トランプ次期大統領への主要メディアによるネガティブ報道や就任式を妨害することを目的に大規模な「反トランプ」抗議集会やデモが予定されている。激しさを増しエスカレートする反トランプ運動の背景には極左的な思想の組織の存在がある。

 

 

ドランプ支持率は52%

 ワシントンポスト/ABCやCNNが行った(1月12~15日)世論調査では、トランプ支持率は歴代最低水準の40%と報道した。調査報告を詳細に見ると、民主党支持者を大幅にオーバーサンプリングしていることが分かる。民主党支持者31%に対して、共和党支持者は23%、無所属は37%を対象とした全米1000人の電話聞き取りであった。トランプ氏は「選挙でインチキの世論調査をして大外れだったのと同じ人たちが、支持率の調査をしている。今度もいかさまだ」と反論しているが、主要リベラルメディアのバイアスは確かに存在すると言える。

 

 この世論結果とは反対に、より現状を反映しているのがRasmussen 世論調査(1月17~18日)である。大統領選挙中に最も世論動向を反映したRasmussen世論調査によると、トランプ支持率は52%としている。ちなみにロナルド・レーガンとジョージ・ブッシュ政権はともに51%でスタートしている。52%は共和党政権としてはそれほど低い数字ではないのである。

 

 

極左派活動家たちによる抗議デモ 

 抗議デモを組織的に計画しているのが、#DisruptJ20(1月20日をぶち壊せ)と名乗る団体である。アメリカ中の多くのリベラル派団体の代表で、草の根運動としているが、現実にはプロの極左運動家たちが主導している政治組織である。

 

 #DisruptJ20は「レジスタンス(抵抗)を始める時がきた」と呼びかけ、市内にでて抗議、道路を封鎖、座り込み、大声を出す、耐えられない騒音をたてる、トランプ支持者への攻撃などの方法で混乱を起こす、就任式を妨害、パレードを止めるなどの妨害活動を起こすことを計画しているとの声明を出している。

 

 

 組織の広報担当のレイシー・マックオリー氏は、投資家ジョージ・ソロスが設立したオープンソサエティー財団が資金支援している、リベラル派の民間シンクタンク、政策研究所(Institute for Policy Studies, IPS)でメディア活動家として働いていた。IPSはヒラリー・クリントン選挙対策本部長を務めたジョン・ポデスタ氏(ウィキリークスのポデスタ・メール)が設立し、ソロス氏が資金支援している、アメリカ進歩センターとも協力関係にある。その他にも、#DisruptJ20には経験豊富でソロス支援の組織と関係ある極左活動家が抗議デモの主導についている。

 

 そのほかに1960年代末から1970年代に警察や一般市民を対象に暴力的なテロ活動を行ったウェザーマン・アンダーグラウンド(注1)という極左学生団体の主要メンバーであったビル・エアーズが率いる「反ファシズム」の団体も参加を表明している。また、不法移民を支援する団体、共産主義思想の学生団体、中絶は女性の権利と主張する団体、反キリスト教団体、アナキスト、ブラック・ライブズ・マターなどの名だたる反社会的組織が名を連ねる。

 

(注1)1969年にシカゴで逮捕された7名の革命家(シカゴ7)の釈放を要求して過激なデモと警官隊との衝突を起こした過激組織ウエザーマン。現在は指導者層は社会復帰し全米に分散して、反社会運動を率先する機会をうかがっている。

 

 

 これまでに、トランプ支持者への暴行、テロリストをイメージさせる黒ずくめ服装でトランプ支持者に恐怖を与える、ワシントンDCの12の保安チェックポイントを封鎖、道路の封鎖、地下鉄や電車の封鎖などの違法活動を呼びかけている。

 

 16日には、ポトマック川沿いのC&O運河に近い林の中から拳銃が入っていたヴァイオリンケースの他、ライフル銃、ピストルと銃弾が詰まったゴミ袋が犬を散歩中の女性が発見、抗議デモ組織が舞踏会会場の換気システムにガスを注入、スプリンクラーに酪酸を入れる、DC橋の封鎖や高速封鎖などの計画は事前に判明して実行が阻止された。就任式には抗議がよりエスカレートしたテロ活動に発展する恐れがある。