ロシアの米国大統領選への関与疑惑の真相 Part 2

26.12.2016

Credit: voanews

 

 トランプ氏は選挙人投票で大きな混乱はなく、正式に勝利が確定した。それでも主要メディアはロシアの米国大統領選への関与疑惑の報道を続けているが次第に疑惑を否定する事実が明らかになってきた。

 

 

NSAにハッキングされた情報はない

 米国家安全保障局(NSA)の情報監視システムの開発者で、告発者でもあるウィリアム・ビニー氏はロシアによるサイバーハッキングの可能性を真っ向から否定してきた。ビニー氏によると、全ての通信は固定電話回線の電話網とインターネット回線を通じて、NSAの通信記録の収集ネットワークの監視下にあるため、 NSAは通信の発生元と送信先を簡単に特定できる。

 

 クリントンやDNCのサーバーがハッキングにあったとしたら、NSAのシステムに記録は残り、記録が残っていない場合は、通信ネットワークを通じてハッキングデータを入手していないことを意味する。また、情報を入手するためにサーバーのオペレーティング・システムに潜入、ファイアウォールやセキュリティ・システムを破った形跡もない。つまり、NSAに通信記録がないのは、サーバーにアクセスできる内部関係者が情報をダウンロードしたことになる。従って、ウィキリークスが公表したクリントン、DNC、ポデスタなどのメールはハッキングではなく、リークされた情報と考えられる。

 

 

議会に説明拒否

 上院の国土安全保障委員会と情報委員会は、ロシアが大統領選へ関与したとするCIA報告の説明を公聴会で行うことを求めたが、 CIAは説明責任を拒否している。ワシントン・ポスト紙やニューヨーク・タイムズ紙には情報をリークするが、議会では説明をしないCIAにどんな不都合があるのか、情報の疑惑と批判が向けられている。

 

情報機関の間でも見解の違い

 米国政府の17の情報機関を総括する国家情報長官室(ODNI)は、CIAの分析には決定付ける証拠がないとして、支持していない。国土安全保障省もロシアの関与はないとしている。

 

 

ロシアではなくDHSがハッキング

 ジョージア州の州務長官は過去10ヶ月に渡り州政府のネットワークに、少なくとも10回の外部からのサイバー攻撃を受けたことを認めている。攻撃を受けたのは、州政府が管理する選挙投票システムであった。ロシアのサイバー攻撃ではないかと疑われたが、攻撃元は国土安全保障省(DHS)のIPアドレスと判明され、ロシアではなく、オバマ政権の関与が疑われている。

 

 ジョージア州以外にも、ウェスト・バージニア州とケンタッキー州でも同様のDHSの IPアドレス先から州政府の選挙投票システムがサイバー攻撃を受けている。