ビットコイン価格急騰の背景

03.01.2017

Photo: marketwatch

 

 2017年年明け、ビットコインの価格は3年ぶりに1,000ドルを超え、コインデスクによると1日に1,021ドルをつけた。2016年は比較的緩やかな上昇傾向にあったビットコイン価格は、10―12月期には急騰している。その背景には、通貨安、地政学的不安、既存の貨幣への信用の低下、安全資産として広く認識されたことがあげられる。

 

 

中国人民元安

 ビットコインの取引の大部分は中国人が占めているため、ビットコイン価格の変動は人民元の為替動向で左右されやすい。人民安で購買力の低下や中国当局の国外資金流出への規制強化の懸念から、ビットコインの購入が増加している。言い換えれば、今後ビットコイン価格の急上昇は、人民元安がさらに続く、国外資金流出への規制の懸念が強まっていることを示すバロメーターでもある。

 

Source: bitcoin.com

 

拡大が続くビットコイン市場

 ビットコインの市場は拡大を続けている。2014年には、ビットコイン価格は200ドル、2015年には400ドル、2016年12月には800ドルであった。2016年1月から120%上昇している。世界19取引所全てにおいて、取引量は増加をみせた。2013年12月の一ヶ月で取引されたビットコインは700万コインに対して、2016年12月には1億1300万コインまで膨れ上がっている。

 

 ビットコイン価格は通貨変動の影響を受けないため、購買力の低下もない。政治や経済不安は逆に価格上昇要因ともなる。安全資産と認識されるようになった今、ビットコイン市場の参加者が増えることで、取引量が増え、「ネットワーク効果」でさらに価格が上昇する傾向にある。