ストックホルムに飛び火した欧州のトラック暴走テロ

08.04.2017

Credit: The Telegraph Twittter

 

 4月7日金曜日ストックホルム中心の商業地区で起きたトラック暴走テロ事件は4名が死亡、15名の負傷者を出した。犯人の一人は現場で取り押さえられたがドライバーは逃走した。スエーデン国内のテロ事件として初の死者を出したこの事件は平穏な北欧の街の雰囲気を一変させた。

 

 トラックが突入したのはストックホルム中心(Drottninggatan)にあるアーレンスデパート。トラックは突然姿を現し暴走して人々を巻き込みながらデパートに突入した。デパートにいた客は突然入口からトラックが店に突っ込みまるで爆弾が破裂したようだったと突入時を表現した。

 

 警察は白昼、繁華街を狙ったテロの目的は市民に恐怖感を植え付け、日常の平和な生活を混乱に陥れることにあるとみている。スエーデン首相はこの事件に敏感に反応し、予定を変更してストックホルム入りしテロに屈しないことを宣言した。捜査態勢を強化した警察はストッックホルム北部近郊で犯人に似た男を確保した。

 

 事件はストックホルム繁華街の歩行者天国で起きた。今回のトラック暴走はフランスのニース、ロンドン、ベルリンなど一連の歩行者を標的としたトラック暴走テロと類似性が高い。事件後警察は現場から一般市民を避難させ、市内の全域で帰宅させ、地下鉄も運転を中止し駅が閉鎖された。

 

 スエーデンでは2010年に爆弾自殺で通行人が負傷する事件があったが、それ以来、テロによる死傷者は出ていない。一方、ニース事件では86名、ロンドンでは5名が、ベルリンでは12名の犠牲者が出ている。トラックテロは2014年にISが市民を標的としたテロで西欧社会を混乱させる呼びかけをして以来、欧州に拡散した。

 

 トラック突入のあった商店街と銃撃戦のあったFridhemsplan地区を下の地図で示す。スエーデンは2016年に15万人のシリア難民を受け入れたが難民の受け入れ人口比で欧州一となった。収容能力の限界に達したため、受け入れを一時的に停止しているが、一般市民の不安が現実となった。今回のテロで恐怖感が増幅されたとすれば、それこそテロリストの思惑通りとなる。