米国の次なる関税対象に小包郵便

2025/9/2

 米国政府は、大統領命令により8月29日から全ての国からの米国宛て郵便物(小形包袋物、小包およびEMS物品)に対する免除措置(デミニミス)が停止された。これに対し日本を含め25カ国(*)が米国宛て郵便物の引受を一時停止したのである。

 

 個人間による書類や贈答品、消費目的の販売品、商業目的の物で内容価格が800米ドル以下の小包が関税対象となるため、各国の郵便事業対等や運送業者の対応に困難が起きている。そのため、米国宛て郵便の引受が一時停止となった。

 800米ドル以下の小包に対する関税率は発送国により異なる。米国が輸入品に課す相互関税と同様になり、EUであれば15%、インドやブラジルは50%、日本は15%となる。

 4月に中国からの合成オピオイドのフェンタニルの流入やShein、Temu通販などの低価格商品の輸入規制の目的で小包郵便への関税免除が停止された。実に中国からの小包は全体の60%を占めている。安い中国製品が大量に米国市場に出回っており、消費者は当然のように低価格品をオンラインショップなどで購入しているのが現状である。

 しかし、7月になって関税免除の停止は全世界を対象と拡大したのである。この免除停止によって、100億ドル(約1兆4700億円)の税収が見込まれているが、eコマース、小中企業のサプライチェーン、個人消費者への影響は避けられない。新しい関税方針に沿っての通関手続きを実施するシステムの導入の遅れや関税が最終的にコストとして米国の取引相手に求められることで、米国の小中企業や消費者への影響は大きい。

 


オーストラリア、ベルギー、中国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、ロシア、シンガポール、韓国、スペイン、スェーデン、スイス、台湾、タイ、英国、チェコ、ニュージーランド、ノルウェー、オーストリア