窓型太陽電池でエネルギー自給する未来住宅

25.11.2017

Photo: extremetech

 

ケンブリッジ大学の研究グループは窓ガラスに色素増感型太陽電池を取り付けて発電する新しい概念の太陽光パネルを開発した。研究グループの提案する住宅の窓ガラス太陽光パネルは、色素増感型太陽電池の世界最高効率(14.3%)で、送電網への依存度が低い持続的なエネルギー供給が可能になるとして、未来都市のエネルギー問題の解決に役立つと期待されている(Zhang et al., J. Mat. Chem. A 37, 2017)。

 

色素増感型太陽電池は透明で窓ガラスの機能を損ねることはない。太陽電池デバイスでは電極と電解質界面の性質が効率に大きく関わってくるが、これまでの仕事は電極のみで電解質を含めた最適化されていなかった。色素とチタン酸化物界面(下図)をデバイス動作中の状態で調べる(オペランド)実験は今回が初めてである。 

 

 

Credit: pubs.rsc.org

 

研究グループはその場中性子反射率測定で色素増感型太陽電池の電極と電解質界面を詳しく調べた結果、効率を最大にするにはチタン酸化物の状態分析が不可欠であることがわかった。太陽電池産業ではエネルギー変換効率とデバイスコストが生命線である。今回の研究で色素増感型太陽電池の世界最高値となる14.3%を達成した。

 

中性子実験は英国のラザフォード・アップルトン研究所の高強度中性子源を用いて行われた。中性子線反射率は界面の水素結合に敏感に電解質と色素の間のプロトン移動に伴う構造変化を精密に調べることができる。放射光や中性子ビームを使うバッテリーサイエンスの実験では、その場測定とオペランド測定が重要な役割を果たしている。バッテリーサイエンスではオペランド放射光実験が活発化しているが、水素原子に対するX線の感度が悪いので中性子線ビームを使ったオペランド実験は、相補的な解析手段である。

 

 

化石燃料の火力を置き換える再生可能エネルギーとして、太陽光と風力に期待がかかる。しかし政府補助金なしには再生可能エネルギーの普及は遅い。理由はパネル材料の半導体材料の価格にある。一般家庭では屋根に太陽光パネルを設置して、剰余電力を販売して設備投資を回収することが多い。これも政府の固定価格買取制度(FIT)に依存しており、インセンテイブがなくなれば一般家庭向けの設備投資は冷え込むことになる。住宅の建材(窓材)として太陽電池が市販される未来社会では、再生可能エネルギー比率を政府補助金なしに普及率を上げることができるかもしれない。

 

Credit: costofsolar

 

色素増感型太陽電池窓は透明で波長の短い太陽光は透過する。色素は励起後に超波長の光子を放出する。住宅の窓材に使われれば太陽光の長波長成分や家の照明などを吸収して、発電を行う。