Credit: Climeworks
パリ議定書から米国が脱退し削減交渉に暗雲が立ち込めている。排気量規制が失速しつつある現在、大気中のCO2を取り除くアプローチに関心が集まっている。排気量の過半数を占める米国と中国はいずれも規制に消極的で必要とされる排気規制が現実的でないためである。
地熱発電所が多いアイスランドでは発電所から大量に得られるCO2の地中貯蔵を進めているが、スイス企業(Climeworks)と協力して、このほど大気中のCO2を集めて岩石に注入し地中に貯蔵する計画を進める。ClimeworksはETHチューリッヒ研究所の開発した手法を用いて、アイスランド上空のCO2を年間50トン取り除くことになる。年間50トンは米国の標準的な家庭の年間排出量にすぎないが、スケールアップのためのパイロット・プラントとなる。
地熱発電所では4.7kmの熱源を発電に利用しているが、同時に得られるCO2を岩石に含ませて地中に貯蔵するCarbFixプロジェクトを推進している。CabFix2と呼ばれる今回のプロジェクトはこの手法を用いて大気中のCO2を集めて地中に貯蔵する。
Credit: Climeworks
大気中のCO2はフイルターに吸着され、地熱を利用してフイルターを加熱しCO2を地下に送り地表から700mの地下水に溶かして整備された既設のCarbFix設備で岩石に注入し地中に貯蔵する。また将来はスケールダウンによって、小規模システムの国内展開が可能になるとしている。Climeworksは世界のCO2排気量の最大1%をこの方法で処理する目標を立てている。
規制交渉が暗礁に乗り上げた排気量規制にアイスランドは決別して、CO2除去に焦点を定めた。