湖底の堆積物から明らかになった大地震の周期性

31.01.2018

Phto: lakescientist

 

南米チリの湖底の堆積物コアを分析した国際研究チームは大地震の発生に周期性が高いことを見出した。小規模の地震を含めれば周期性はさらに高まり、しかも周期性が増大していることも明らかになった(Moemaut et al. Earth and Planetary Sci. Lett. 481, 9, 2018)。

 

史上最大のスケールとされる1960年に起きたM9.5のチリ大地震では津波で太平洋を越えた日本でも死者200名の惨事となった。大地震では何世紀にもわたって蓄積されたエネルギーが一挙に放出される。そのため大地震の長周期性を計測し続けることができない。

 

今回の研究では大地震の長周期性に着目して調査が行われた。研究チームは湖底の堆積物を丹念に分析し、大地震が地下水脈の地滑りを引き起こしその痕跡が堆積物中に残されていることを突き止めた。

 

過去5000年に相当する最大8mの堆積物コアを調べた結果、M7.7以上の大地震が過去35回あったことがわかった。一箇所の湖だけは水脈の地滑りはM9以上の大地震のみで起きたが、他の湖ではM8以下の地震でも起きたことがわかり、湖の堆積物中の水脈の地滑り痕跡が比較された。

 

その結果、大地震は292±93年ごとに起きることがわかり、これは今後50-100年でM9以上の大地震が起こる可能性は低いことが予想される。しかしM8以下の規模の地震は139±69年周期で起こるため、50年以内に起きる確率が29.5%であることもわかった。チリ周辺は1960年以降は地震活動が活発でなかったが2016年12月にM7.6地震が発生したことから、この地域の地震活動が再び活発化する恐れがある。

 

 

Credit: Earth and Planetary Sci. Lett.

 

研究チームはアラスカや日本においても湖の堆積物調査を開始しており、地震の多いこれらの地域の大地震の長周期性を明らかにする予定である。