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アイスランドの海賊党(Pirate Party)は29日に開かれる議会選挙で、第1政党の地位に躍進する可能性が高まっている。2012年にアイスランドで政党として発足、市民活動家、無政府主義者、ハッカーなどのIT系技術者、作家などが発足した海賊党は、政治政党として支持率を伸ばしてきた。今回の議会選挙で「反体制」を掲げる政党が国政与党となることで、アイスランドだけでなく、世界に多大な影響を残すことになる。
海賊党とは
有権者が選挙で選んだ代表者に全ての政策の意思決定を委任する「間接民主制」と市民が直接投票で政策を決める「直接民主制」にはそれぞれ短所と長所がある。オンライン・プラットフォームを活用しながら、間接・直接民主制双方の長所を組み入れ、市民の声を十分に反映した新しい民主主義政治「液体民主主義」を目指すと主張するのが海賊党である。
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海賊党は、「デジタルテクノロジーを使って政治を変える」を掲げた政党として2006年にスウェーデンで生まれた。「変化を求めるなら、既存の体制を変えなければならない」を提唱、その目的を達成するにはデジタルテクノロジーの活用は不可欠としている。
2012年に政党として発足、2013年には、議会選挙で定員数63議席のうち、3議席を獲得した。海賊党の支持率増加の背景には、政治不信と国家破綻が大きな影響を与えている。2008年の金融危機による国家破綻で、政治汚職や銀行の不正行為が発覚、アイスランド市民の間で既存の政治体制や金融体制に不信と不満を抱くようになった。2015年には、パナマ文書に首相の名前が記載されていたことで、国民の政治不信は強まり、首相は辞任に追い込まれた。
海賊党が掲げる政策の中には、右派と左派に分断された政治体制の終焉、政治の透明化、知的所有権法の改正、インターネット規制の反対、ビットコインを正式な決済方法と認定、NSA内部告発者エドワード・スノーデンの亡命受け入れなどがあげられる。
アイスランド大学が10月14~19日に行った最新の世論調査では、海賊党の支持率は最も高い22.6%であり、国政与党の地位を獲得することになる。
Source: University of Iceland
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