人工サンゴ礁による海洋環境保護

29.06.2017

Photo: supthemag

 

人工葉(Artificial reef)とはワイアレス太陽光水分解のことで、光合成を模して太陽エネルギーで水分解を行うデバイスで、水素はエネルギーとして貯蔵でき燃料電池に利用できる。ここで紹介する人工サンゴ礁(Artificial coral reef)は大気中のCO2濃度増大による海洋環境の悪化(大洋の酸性化)を防ぐためのものである。

 

ポートマス大学の研究グループは人工サンゴ礁で地中海の海洋環境保護に取り組んでいる。人工サンゴ礁はフレームにサンゴ藻を模したシリコン樹脂で覆われたもので、海底に投入されればサンゴ礁と同様の海洋環境保護の機能を持つ。

Credit: skepticalscience

 

危機に瀕しているサンゴ礁

炭酸カルシウムの自然サンゴ藻は海洋の酸性化(上図)に弱いため、年々増加する大気中のCO2濃度で海洋の酸性化により危機に瀕している。人工サンゴ礁はフレームが人工炭酸塩が分解され海水に溶け出して、最後にはフレームに戻るので環境汚染がない。

 

研究グループは地中海のサンゴ礁海域に12 カ月かけて設置する。人工サンゴ礁に取り付く海洋生物の影響で、海洋環境悪化を防ぎ酸性度を元に戻すことができると考えている。王立協会の予算に基づく研究プロジェクトではイタリア北西海岸のサンゴ礁の生態観察も予定している。

 

プロジェクトでは直径10cmのフレームに20個のシリコン樹脂の人工サンゴ藻がついた人工サンゴ礁90個が設置される。

 

Credit: whoi.edu

 

温暖化より深刻な海洋の酸性化

海洋の酸性化は地球の表面温度上昇(地球温暖化)より科学的に根拠のある現実的な問題である。大気中のCO2濃度と海水の酸性度の観測値の方が任意性のある平均気温より遥かに精度が高い。排気ガス規制は温室効果のためではなく海洋環境汚染の防止に意味がある。人工サンゴ礁は低コストで効果がある対策であり、今回のプロジェクトの結果を見て本格的な展開が望まれる。