イタリアのスーパー火山に噴火の兆候

19.05.2017

Photo: greenme

 

ナポリの南西1kmにあるカンピ・フレグレイ火山は1538年以来、噴火していない。しかしロンドン大学とベスビオス観測所の火山専門家グループはこの火山の噴火がスーパー火山規模の大被害となるエネルギーが蓄えられているとして噴火リスクを警告した。

 

研究グループはフレグレイ火山の活動調査を続けた結果、火山活動が活発化している兆候をとらえ、モデリングの結果から噴火が近いと結論している。岩盤に裂け目が走り、フレグレイ火山の地盤が隆起するなどの噴火が近い兆候がみられるとしている。

 

スーパー火山としてはイエローストーンやスマトラ島などが知られている。蓄えているエネルギーが放出されると火山灰が上空を覆い広範囲な地域に直接的な影響があるばかりでなく、太陽放射が遮られて寒冷化することで全世界的な影響を及ぼす。

 

 

カンピ・フレグレイ火山

イタリアのナポリ西部に広がる広大なカルデラのフレグレイ平野の起源とされる火山で、20万年前から欧州最大の火山活動とされる噴火以降、噴火を繰り返し、カルデラ盆地を形成した。最近ではモンテヌオーヴォ スコリア丘を形成した1538年の大噴火が知られている。

 

火山活動の活発化している兆候は201612月にも計算機モデリングによる噴火の兆候に関する報告が(Nature Comm. 2016)なされている。それ以前にも1950年代、60年代、70年代にも火山活動の活発化が観測され、1980年代には地下3kmのマグマの流動による火山性の地震も観測され、その都度火山専門家が注目していた。

 

もし噴火となればそのエネルギー放出で100km四方に及ぶフレグレイ平野を中心にナポリ西部の100万人の住民に影響が及ぶとされる。これまでの噴火予測と異なり今回は地下のマグマのモデル化とシミュレーションで噴火の予測精度は高いとされる。

 

 

Credit: researchgate 

 

イタリアでは201610月に中部でM6.6の地震が観測され被害がでたが、2017年に入っても地震活動が続き118日に中部でM5.3の地震が観測されている。地震や火山の予告の精度は残念ながら確実性に欠けるが、モデリングの発達で精度が向上していることも事実である。