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異常気象が続いている2018年だが、異常な酷暑は近年でも突出していることに驚いている人が多い。たしかに2018年の夏、世界的な熱波が北半球を覆い尽くしている。その原因については複数の仮設があるが、CNRSの研究チームは新しい方法を用いて、シミュレーションを行い2018年が特殊なのではなく、今後数年間は酷暑の夏を迎えると予測している(Sevellec et al., Nature Comm. 9: 3024, 2018)。
大気中の温室効果ガスの濃度上昇は時間に対して線形であるが、温室効果ガス効果による温暖化は線形ではない。それは21世紀初めに一時的に成り立たなくなったように見える。これは地球温暖化の中断と呼ばれる現象の中にいると言っても将来の傾向は変化があるかもしれないし、一方では太陽黒点の活動によってミニ氷河期と呼ばれる寒冷期が訪れるかもしれない。
要するに平均気温は複雑なエネルギー収支の結果であり、正確な予測は難しい。しかし、短期的な挙動に絞れば、研究チームの平均気温を予測する新しい方法は統計的手法によるものなので過去のデータを包含していることになる。それが、今後数年間は予想以上に暑くなる可能性を示唆しているという結果は興味深い。
研究チームが開発したシステムは、伝統的なシミュレーション技術を使用していない代わりに、現在の気候条件の「類推」を見いだし、将来の可能性を推測するために、いくつかの参照モデルを使用して20世紀および21世紀の気候シミュレーションを統計的方法で処理するものである。この確率論的システムの精度と信頼性は、特に今世紀初めの地球温暖化の中断をシミュレートする目的で開発され、従来の方法と同等であることが判明した。以下、GMTは世界平均地球表面温度である。
Credit: Nature Comm.
新しい予測によれば、平均気温は2018~2222年に異常に高くなる。これは、人為的な地球温暖化のみから推測される数値よりも高い。特に、これは強い寒波が弱まる事で相乗効果となる。この現象は、特定の条件下で熱帯低気圧活動の増加を引き起こす事象の可能性が高くなり、海面温度が異常に高くなる。
これに対して、スーパーコンピューターを使った従来のシミュレーション方法が1週間かかるが、この方法では学習アルゴリズムで、ノートPCでも数100分の1秒で予測が得られる。現時点では、この方法では全体の平均値しか得られないが、降水量や雨量の傾向を推定するための拡張が予定されている。
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