2018年世界的な酷暑の原因に複数の仮説

25.07.2018

Photo: earth.nullschool

 

今年の酷暑は世界共通の現象であり、気候温暖化を唱える人々は「それ見たことか」とい茹だろう。しかし考えてみると平均気温の上昇と酷暑との関連性は複雑でその原因については、様々な仮説がある。実際、過去の夏季平均気温を見れば必ずしも増大傾向ばかりとは限らない。ばらつきがあるのだ。

 

レディング大学の研究チームによると、最近観測されることが多くなった熱波の原因となるものにはいくつかの主要な理論があるという。

 

1. 気候変動説

大気中の二酸化炭素の濃度が上昇する化石燃料の燃焼により、気温が世界的に上昇したことで、熱波がより極端になっている。ここ数年、中央ヨーロッパでは2015年の熱波や2017年のルシファーの熱波など、ヨーロッパでは記録的な気温が見られた。異常に暖かい夏の気温は、カナダや日本などの他の地域でも記録されており、気候変動はここでも重要な役割を果たしている可能性が高いとする説。

 

2. 北大西洋の気温が関係

北大西洋の気温は、ジェット気流の位置を決める役割を果たす。これは、イギリスとアイルランドで経験した気象に大きな影響を与える。この夏は、亜熱帯地域で比較的暖かい北大西洋の温度と、グリーンランドの南に海温が低くなっている。これらはヨーロッパの高圧に影響を及ぼし、ジェット気流をさらに北方に押し出すと考えられている。

 

3. La Nina説

数年に1度、熱帯太平洋の海洋気温は比較的温暖である(エルニーニョと呼ばれる)と逆傾向(ラ・ニーナ)との間で変動する。昨年10月以来、熱帯太平洋はラニーニャ期にあった。ラ・ニーナは時折北西ヨーロッパの寒い冬に関連している(例えば、2010/11の冬と2018年3月の最近の寒波)。しかし、今年のラ・ニーナは4月頃から弱体化し始め、6月には英国の現在の乾燥習慣が始まったばかりだった。

 

上記の要因は、英国やアイルランドに入る天気の種類に影響を与えるが、特に今年の酷暑のような非常に珍しい天候の場合にも影響する。この夏の暑くて乾燥した天候の一部は、北大西洋気温、気候変動、天候の組み合わせによるものである。気候パターンはそのままで、今年の夏は1976年の極端な夏のように暑く乾燥していると予想される。

 

結局、過去と比較すると今年の北極の海水温度分布とジェット気流の動きがない現象は20世紀で最高温度を記録した1976年に酷似していて、高気圧の停滞によって熱波が説明できる。酷暑の3Dマップによって世界的な酷暑のパターンが認識できる。酷暑の原因については少なくとも、気候温暖化という単純なシナリオでは説明できなさそうだ。

 

 

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