フリン効果(知能指数上昇の持続性)の終焉

13.06.2018

Photo: jaqandrews

 

ノルウェーのラグナー・フリッシュ・センター(Ragnar Frisch Center for Norway)の研究チームは、最新の研究でIQテストのスコアが過去数十年間に徐々に低下していること(負のフリン効果)を明らかにした(Bratsberg et al., PNAS online June 11, 2018)。

 

以前の研究では、20世紀初めから継続してIQテストのスコアが伸びていることから、人類が賢くなっているとされていた(フリン効果)。それを説明するために、栄養、健康管理、教育などさまざまな因子の影響が提案されている。しかし、最新のノルウェーの研究チームの研究結果はその傾向は終わり、賢くなるのではなく、人間は愚かになっていること(負のフリン効果)を示している。

 

研究チームによる調査は、1970年から2009年の間にノルウェーの徴兵対象者(青少年)のIQテスト結果を分析した。全部で730,000件のテスト結果が解析した結果、1世代あたり平均7ポイントのスコア低下が見られ、テスト結果の明確な逆転で知能指数は約70年前に戻った。

 

 

しかし詳細にみると、家族集団の間の差でその減少の一部は環境要因に起因する可能性があることも明らかになった。しかし、同時に統計結果が生活様式の変化、教育制度や子供の読書量の減少、ビデオゲームなどの因子で減少の一部を説明できる。

 

ノルウエイだけでなく同様な研究結果を英国の研究チームも見出している。第2次世界大戦のほぼ終わりからIQスコアの結果が10年ごとに2.5ポイントから4.3ポイント低下した。そして、米国の研究チームによれば魚をたくさん食べて育った子どもたちが、より高いIQを持つ傾向がある。

 

栄養もまた成人の知能指数に影響するもう一つの要因である。特に、現代の多くの国の子供たちは魚をほとんど食べてい無いことも、IQテストの結果が悪くなっている一因と考えられる。

 

 

Credit: PNAS