米国のオンライン小売業者に課税義務

25.06.2018

Photo: patentlyapple

 

 最高裁判所は5-4の僅差で、小規模オンライン小売業者に対して、消費税の義務を明確にした。この判断でオンライン業者への課税を義務付けたサウスダコタ州の訴えが認められた。この決定で将来のオンラインショッピング商品の価格上昇は避けられないとみられる。

 

 実施にはしかし困難な課題が山積みである。例えばニューヨーク州の顧客に商品を販売するユタ州の小売業者はニューヨークの消費税を計算して徴収しなければならないなど、他の州の顧客から消費税を徴収するよう州外の企業に要求することになる。これは自州以外の顧客に対して、売上税を徴収しなかった事業者が、国内10,000の州および自治区の顧客に課税することになる。

 

 この判決は、州外の企業が消費税の徴収回避を可能にした20年前の最高裁判決を覆したもので、小規模オンライン小売業者や中小企業は最高裁判決に反撥している。

 

 一方、税務コンプライアンスのソフトウェアとサービスは、小売業者が販売取引を処理するプログラムと連携するように設計されている。これらのデータベースは、売上税を課す45州の税率を追跡するデータベース、および独自の税金を持つ何千もの郡や地方自治体にリンクされている。担当判事は、中小企業の税務コンプライアンス対処は容易だとしている。

 

 IT化が進んでいるとしても膨大な数の課税がネットショッピングのモチベーションである低価格販売に影を落とすことが懸念されている。たった1票の差が全米のオンライン小売業者に新たな課税義務が生じたことでネットショッピングのビジネスモデルが20年ぶりに見直されることとなった。