南米に飛び火したポピュリズム

09.10.2018

Photo credit: panoramas.pitt.edu

 

 アメリカ、欧州に続き南米でも反体制、ポピュリズムの波が忍び寄せている。7日に実施されたブラジル大統領選挙では、極右の社会自由党のジャイル・ボルソナーロ下院議員は得票率46.43%で首位に、政治体制を維持してきた最大左派の労働党のフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長は29%に留まった。当選に必要な過半数を獲得できなかったことから、両候補者は10月28日に決選投票を迎える。

 

 「南米のトランプ」とも呼ばれているボルソナーロ氏は「ブラジル優先」を掲げ、伝統的な価値観を守る、汚職と犯罪取り締まりの強化、治安改善、国有企業の民営化、地方分権などを主張してきた。国民による支持率の拡大は、長年の景気低迷による高い失業率、政治家の汚職、治安の悪化、凶悪犯罪の増加、「ブラジリアン・ドリーム」の崩壊が背景にある。これまで政権を維持してきた労働党は有権者の期待を裏切ったかたちとなり、ボルソナーロ氏はブラジルの経済回復、治安の改善を望む有権者の支持を取り付けたのである。

 

 トランプ大統領同様にボルソナーロ氏は、ソーシャルメディアの活用で支持率をあげてきた。9月6日に、左翼派により腹部をナイフで刺された後、マスコミ報道を最小限にして、病院から発信した国民への直接メッセージが支持率の拡大につながったとされる。

 

 大統領選の開票結果後に発したツイッターでは、「ブラジル国民がたどる道は2つある。1つの道は、神のそばでの繁栄、自由、家族。もう1つは、ベネズエラの道だ。」「もうこれ以上、左に一歩たりとも進むわけにはいかない。社会主義や共産主義といつまでも仲良くすることはできない。」「国民を団結させる。我々はみんな一緒に偉大な国になる。」とまるで、トランプ大統領のスペーチのような内容で国民に呼びかけた。

 

 両候補とも、不支持率が高いことから、10月28日の決選投票までにどのように支持率を上げるかが注目される。選挙3日前のDatafolha世論調査では、ボルソナーロ氏への不支持は45%、アダジ氏は40%であった。しかし、同じ世論調で、ボルソナーロ氏の支持率が39%と投票結果を大きく下回っている。ボルソナーロ氏への不支持が低くなる可能性が高く、汚職歴がまったくない数少ない政治家であるボルソナーロ氏の支持があがる可能性は大きい。

 

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