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検証がなされてなかった第5の力(相互作用)が実証されたと考える研究結果が報告され、これまでの4つの相互作用(重力、電磁気力、強い相互作用、弱い相互作用)に新しい相互作用が加えられることとなった。これによって宇宙の理解がより完全な枠組みのもとで進むものと期待される。
というのも宇宙に存在するすべての物質は4つの相互作用で説明されてきたからである。第5の力を実証したと主張するハンガリーの物理学者たちが正しければこれまでの宇宙物理が書き換えられる。4つの相互作用はこれまで発見された素粒子を矛盾なく説明出来る標準理論の基盤である。しかし最近の大型加速器の実験結果が標準理論で説明できないことがわかると標準理論にも綻びが目立ち始めていた。
そもそも4つの相互作用のうち重力は太陽など質量の極めて大きい場合に、その存在が重要になるもので、電磁気は物質の結合に重要な力、強い相互作用と弱い相互作用は原子核やその構成要素である素粒子に働く力である。
最初に第5の力の存在が報告されたのは2015年のことで、ハンガリー科学アカデミーの研究者グループによるものであった。彼らはリチウム7原子に陽子を衝突させて、電子の質量の34倍の質量の軽いボソンを見出し、第5の相互作用を検証したと主張した。
しかし彼らの主張は大胆な「仮説」として論文は無視されてきたが、先月米国のカリフォルニア大学の研究グループがこの結果を詳しく調べたした結果、結論は実験結果を支持している、すなわち第5の相互作用が存在する、ことを再確認した。
Source: ICT Career
今後、実験の追試が別グループで進められれば信頼度は向上し、世界中の物理学者が納得するだろう。もっとも期待されていることは宇宙の80%を占めると考えられている暗黒物質に第5の力が関わっている可能性が高く、第5の相互作用を含めた枠組みで暗黒物質の正体が明らかになるとみられる点である。
また現実的な問題として大型加速器による衝突実験装置の規模は巨大化する一方で、その他の実験装置もすでに一国だけで建設が困難な規模になりつつある。第5の相互作用を含めた枠組みの理論で実験が検証すべき事象が絞られ、効率が良い研究が行える経済的メリットも大きい。