移民受け入れで2極化するヨーロッパ

Aug. 22, 2015

Photo: The Telegraph


ヨーロッパにおける移民問題が深刻しているなか、スロヴェニア政府は200人のシリア難民の受け入れを表明した。だが、受け入れる難民を迫害されたキリスト教徒に限った。イスラム教徒を受け入れないことが大きな波紋を呼んでいるが、中東で殺害、迫害を受けているキリスト教徒の問題をスロヴェニアは提示したのである。



今シリア、イラク、リビアなど戦争と内戦が続く中東諸国や西アフリカからのイスラム教移民がヨーロッパに流れ込んでいる。国連難民高等弁務菅事務所 (UNHCR) によると、2011にシリアで内戦が勃発してから400万人が国を去ったとしている。7月だけで、10万人以上がEUに避難している。



ヨーロッパで最も移民を収容している国の1つがオーストリアで、今年は8万人の移民が定住を求めると予測されている。オーストリアの隣国であるスロヴェニアの他、エストニア、ハンガリー、チェコ、ポーランド、ラトビア、リトアニアなど西ヨーロッパ諸国とバルト諸国はキリスト教国で、EUの移民受け入れを加盟国に割り当てる移民定住政策に反対している。多くのイスラム教移民を受け入れているスェーデン、フランス、ドイツではイスラム化が進んでいる。キリスト教文化の消滅の脅威と危機に直面しているとも言える。


下の写真はフランスの街中で道路を占拠して祈りを捧げるイスラム教徒。


Photo: No Compulsion


キリスト教弾圧

世界中でキリスト教徒への差別、弾圧、迫害、虐殺が深刻な問題となっている。中東やサブサハラ・アフリカではイスラム過激派の勢力の拡大や抑圧的な政府によりキリスト教徒に向けられた「宗教的・民族浄化」が行なわれているとローマ法王フランシスコは警告を発している。

 

世界における宗教と信仰の自由を問題視してきた英国上院議員のバロン・デイビッド・アルトンによると、現在世界60カ国で2億人のキリスト教徒が弾圧を受けている。それは、世界中のキリスト教信者22億人の10人に1人にあたる。また米国の国際信仰の自由委員会は世界110カ国においてキリスト教への弾圧があると報告している。

 

2014年には特に中東、イラク、リビア、シリアを中心に4,344人のキリスト教信者が宗教上殺害されている。イラクのモズルだけでも10万人のキリスト教徒がイスラム過激組織からの攻撃から避難したとされる。

 

 

独立国家として、その国の文化、習慣、宗教的信仰を守ろうとする考えはいかなる立場でも批判することはできない。スロヴェニアのイスラム移民受け入れ拒否をきっかけにイスラム系移民の受け入れでヨーロッパに対立構造が生じている。