米国マイナス金利導入の実現化に向けて

06.02.2016

Photo: ezonomics

 

 FRB議長だったアラン・グリーンスパンは、2000年のITバブル崩壊を受け、政策金利を1%まで下げ、その後も低金利政策を続けた。2008年のサブプライムバブルの崩壊で、ベン・バーナンキはゼロ金利政策と量的緩和 QE1, QE2, QE3を実行した。残された政策はマイナス金利となったFRB。スイス、スェーデン、デンマーク、ECB、日本に続いて、米国でのマイナス金利の導入

が実現化に向かっている。

 

 

マイナス金利導入に賛成

 米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、2010年サンフランシスコ連銀総裁当時に、低いインフレと低い経済成長の対応策として「もし、マイナス金利が可能であれば、私は導入に賛成する」と述べた。マイナス金利の導入の可能性につき、初めて公式に述べた連銀総裁である。イエレン氏はこの発言後に、 FRB 議長に任命される。今になって将来を見据えての人事ともいえる。

 

 

FRB2016年銀行ストレステスト

 FRB2016年度の銀行ストレステスト(健全性審査)の仮想シナリオの一つとして、2016年の第2四半期から米短期債利回りがマイナスに転じ、そこから-0.05%2019年の第1四半期まで続くことを想定、銀行の体力を測定することを決定した。勿論、世界経済が深刻な景気後退に転じ、失業率が5%から10%に急増、企業財務の悪化などの状況により、米短期債がマイナスに転じた場合を想定したシナリオであるとFRBは明言している。FRBがマイナス金利を検討している訳ではないと強調しているが、最近の他の連銀総裁の発言は、マイナス金利が選択肢として肯定的に受け止められていることを示している。

 

 

2015年からマイナス金利導入を検討

 9月のFOMCで、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁は、2016年年末までにマイナス金利を実施する必要性を指摘、マーケットに衝撃が走ったことはまだ記録に浅い。FOMC後、イエレン議長は真剣に議論する議題ではなかったとコメントしたが、景気後退の状況になれば、政策手段として検討されると述べた。

 

 2016年1月には、ニューヨーク連銀のウェリアム・ダドリー総裁は、「マイナス金利は真剣に検討していないが、予想以上に経済が劇的に低迷、経済刺激にあらゆる金融政策手段が必要となれば、その導入は検討される。」と述べている。2月1日には、外交問題評議会でスタンリー・フィッシャー副議長は、「マイナス金利は想定以上に効果的である。その効果を観察している。」と発言している。明らかに、 FRBは金利の正常化ではなく、12月の利上げを再び下げ、マイナス金利導入の実現化に向かっていく環境作りをしているように見える。

 

 世界の中央銀行が低金利・ゼロ金利と金融緩和策の実施が、実態経済の回復には効果がなく、実態経済を反映しない資産バブルを作り上げた。再びマイナス金利の導入で経済を刺激しようとしているが、資産バブル、債務バブルの崩壊を先延ばしするだけで、問題解決とはならず、その間、経済はますます悪化していくであろう。

 

 

2008年のリーマンショックの起源を辿るとFRBのゼロ金利政策に行き着く。

 

 

Source: elliottwave