Falcon9も垂直着陸に成功

22.12.2015

Photo: AP

 

Facon9はイーロン・マスク率いるスペースX社がISSに物資を届けるドラゴン補給船を打ち上げるために開発した「再利用ロケット」である。これまで再利用のための1段目を垂直に着陸させる試みが難航していたが、このほど垂直に着陸することに成功した。

 

Falcon91段目の着地実験は20151月に14号に行われた。ドラゴン宇宙船を切り離した後、1段目を大西洋上に浮かべた専用の着陸船に着地させる試みが失敗した。このときの原因は姿勢制御用の燃料(注1)が不足して最終段階のの姿勢制御がうまくいかなかったことが原因だった。

 

(注1)ロケットの垂直着陸に際して困難な問題は着陸用の燃料(15-30%)と姿勢制御用の燃料の両方を着陸時に残しておくことが必要であること。このため打ち上げ時の積載貨物の重量が制限を受けることになる。

 

 

20144月の17号機の着陸の試みも失敗したが、イーロン・マスクは20156月に19号機で再々度着陸を試みる予定であったが、このときには打ち上げから139秒後にロケットが爆発しドラゴン宇宙船の打ち上げにも失敗した。この事故の原因はその後の調査により燃料タンクの構造上の問題によることがわかった。

 

3度の着陸実験に失敗しただスペースX社はロケット回収が打ち上げコストを1/100にするための重要なキーテクノロジー(注2)であるため、4度目の挑戦を行い垂直着陸に成功した。

 

(注2)構想ではロケットは1段目、2段目とも垂直着陸させる。2段目は1段目の長さを縮小したもの。

 

 

ファルコン9シリーズはスペース X社の開発した小型のファルコン1のエンジンを9基クラスターとしたファルコン9 ver.15号機まで、6号機からはエンジンを大型にして配置も異なるver1.1となった。スペースX社がより大きい積載量のロケットとしてver.1.1のエンジンを3本重ねたファルコン・ヘビーを計画している。

 

 

Source: Space X

 

1段目を束にして推力を高めるとともに簡素化してコストを減らす工夫はロシアのアンガラロケットなどでも用いられている。大型エンジンを新たに開発するより、小型推力のクラスター化で同じ推力を得る方が低コスト化できるとともにトラブルがあるエンジンを停止することで安全性も高まる。さらにそのロケットを束ねる大型化する傾向にある。

 

失敗が続いたがイーロン・マスクが強気で挑戦を重ねたのは、各々の失敗原因が異なり、それぞれの原因がはっきりしていたため、事故原因をつぶしていけば必ず成功するという自身があったからである。着陸地点をロケットに追随させることができる洋上着陸に比べて、固定した場所への帰還で燃料使用量の多いものの陸上への着陸は難易度が低い。絶対に成功させなければならない今回では陸上を選んだと思われる。

 

1段目の回収にめどが立ったため、今後のミッションでも着陸回収を試みるだろう。また2段目の回収実験も期待される。アマゾン設立者のジェフ・ベゾスが100kmという低高度の宇宙旅行を商業ベースに乗せるために設立したブルー・オリジン社は目標とする100kmの弾道飛行と打ち上げロケットの垂直着陸に成功したが、ブルー・オリジンは商業宇宙飛行が目的。NASAとの長期契約があるイーロン・マスクの思惑は惑星間宇宙旅行にある。