謎が深まるエボラ出血熱対応

Nov. 17, 2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オバマ政権は、ビザ発行の一時停止や西アフリカからの渡航禁止令を出す意向はないとし、これまで通り、一ヶ月4,500人の西アフリカ人の入国を認めている。だが、ここにきて外国国籍のエボラ感染者を米国で治療する対策を政権内で進めており、その最初の感染者が15日にアメリカに搬送された。


 アメリカ(ネブラスカ・メディカル・センター)で治療を受けているのは、シエラレオネ国籍のマーチン・サリナ医師で、アメリカでエボラ感染者としては10人目である。一回目の検査では陰性であったが、2日後の2回目の検査でエボラ出血熱と確認され、アメリカに搬送、危篤状態にある。



エボラ感染者の治療をアメリカで

 

 アメリカの保守系の民間監視機関Judicial Watchによると、オバマ政権はアメリカ国籍を持たないエボラ感染者がアメリカで治療を受けられる体制を検討中で、議会の承認なしで大統領行政命令として実施されるとみられる。これは、国防省の極秘メモによって明らかにされたことで、感染者一人の搬送費用(20万ドル)や治療費(30万ドル)の詳細まで書かれているとされる。当然、治療に掛かる費用はアメリカ国民が負担することになる。


 

 このことに関して、テキサス州共和党のルイ・グッドラット下院議員は、オバマ大統領は極秘に西アフリカ諸国とエボラ感染者の受け入れを密約、中間選挙後に多くの感染者がアメリカに搬送される恐れがあるとしている。下院司法委員会のボブ・グッドラット委長も政権内で勝手に決めたことであり、1952年の移民国籍法下では、大統領は国民の安全を最優先し、西アフリカへのビザ発行の停止と渡航者の入国禁止条例を出すべきで、議会は西アフリカからのエボラ感染者の受け入れは憲法に反して容認できないとの見解を示している。



渡航者の最大で月2.8人がエボラ感染者


 医学ジャーナルのザ・ランセット(The Lancet)で、アイザック・ボーゴッチ(トロント大学感染症)のチームが西アフリカからの渡航者がどの程度エボラ出血熱を世界中に広げる可能性があるかを調査した。国際航空運送協会とWHOの2013年のデータをもとに、予測モデルを用いてエボラ感染者の拡大を推定した。

 

 それによると空港での検疫で全てのエボラ感染者を断定できない限り、2014年の9月1日から12月31日の間、西アフリカ3カ国からの渡航者でエボラ感染者が月最大で2.8人、入国する可能性があるとした。入国先は、ガーナ、セネガル、フランス、英国が最も多く、アメリカは低いとされているが、ビザ発行の規制がないため、米国行きの渡航者は増えるとみられる。



西アフリカに派遣された米軍兵士の帰国


 現在、2200人の米軍兵士が西アフリカに派遣されている。派遣期間が終了した兵士は当初、ヨーロッパの米軍基地で21日間の隔離を得て米国に帰国することになっていた。現時点で、42人がイタリアのヴィチェンツァの米軍基地で隔離されている。だが、国民の反対から、海外の米軍基地での隔離を断念、米国の5カ所の米軍基地(Fort Bragg, North Carolina; Joint Base Lewis, Mc Chord, Washington; Joint Base Langley, Virginia; Fort HoodとFort Bliss, Texas) で21日間隔離されることに変更された。11 月に入り、11人がテキサスのフォート・ブリスで隔離されている。              


 

 さらに, プエルトリコのサンファンにある退役軍人病院が急遽エボラ患者専用の病棟の建設を急いでいる。米軍兵士のエボラ感染を恐れている可能性が高い。



 国防省は9月に160,000着ハズマットスーツを緊急注文した。さらに10月30日には、250,000着の追加注文を入れ、ダラスに届けるよう指示がでていることがメーカー側から明らかになっている。アメリカで今後、エボラ出血熱のパンデミックが起きると政府は推測しているのであろうか。国民も兵士も何も知らされていない。