PTSDの薬剤治療が可能に

05.04.2017

Photo: choicespsychotherapy.net

 

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は戦争や事故、災害などで強い精神的衝撃を受けたことが一時的なストレス状態から解放後にも生活障害が継続して慢性化することをさす。精神療法が成果を上げない場合に抗うつ剤投与が重篤な場合に使用されるのみで、一般的な効果は検証されていない。

 

このほど英国とスイスの研究グループがPTSDの治療に市販されている抗生物質の一種であるドキシサイクリンが有効であることを発見した。76名に試験的に投与した結果、60%が恐怖感を抑えることがわかった。このことは通常は感染症に対して処方されるドキシサイクリン(Doxycycline)が酵素マトリックスと呼ぶ神経細胞がいの酵素蛋白をブロックするとされる。

 

ユニバーシテイ・カレッジ・ロンドンとチューリッヒ大学の研究チームの行った実験ではドキシサイクリンを与えられた人を含む被試験者にデイスプレイで点滅する異なる色のパターンを連続して見せ、特定の色の時に50%の確率で電気ショックを与えた。

 

一週間後、投与なしで同じ色を見せ、電気ショックの代わりに同じ色の時に不快な騒音が聞こえるような実験を行った。色への反応時間のバックグラウンドは特定色以外の色への反応で推定し、正味の恐怖や嫌悪感を瞬きの頻度で推定した。ドキシサイクリンを与えられた場合、恐怖感の発現は60%低下することが確認された。

 

Credit: doxycyclinehyclate100mg.biz

 

特定の色を見た時に恐怖感を覚えない被検者は、その色をみた時に電気衝撃を受けた記憶が消し去られルノではなく、その色を見た時に反射的に恐怖感を呼び戻す動作を忘れるのである。人間は恐怖を覚えることで危険を予知できるが、「恐怖の予知」が行き過ぎると過敏に反応しPTSDを発現するという。PTSDは過度の恐怖記憶の再現に他ならないが、研究グループはドキシサイクリンの効果をさらに研究することで、PTSDを含めて恐怖記憶の再構築メカニズムを知ることで抜本的な治療を目指している。