欧州の放射性核種汚染でロシアが原子力事故を否定

22.11.2017

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欧州各地で2017年9月に観測された放射性核種(ルテニウム106)の地表濃度の異常な上昇した。放出源はウラル山脈近くのロシアもしくはカザフスタンの疑いが濃厚である。一方21日、ロシアは管轄する核施設では原因となる原子炉事故は報告されていないことを明らかにした

 

チェリャビンスクに近いロシアの軍事核施設は1940年から度重なる放射能漏れ事故を起こし、また周辺地区への放射能廃棄物の不法投棄で健康被害をもたらした過去がある。今回の核種ルテニウム106濃度異常は原子炉事故の証拠となるセシウム137の増大がないことから、原子炉事故の可能性は低いとされてきた。

 

月曜にロシア気象台は、ウラル地方のチェリャビンスクのルテニウム106核種濃度が通常の1000倍となる異常な数値となった事実を認めた。しかしロスアトムはAFPに対してロシア国内の原子力施設で事故の報告はないとした。またロスアトム参加のマヤク核施設はルテニウム106を過去数年に渡って製造していないことから今回の核汚染がマヤク施設と無関係であることを強調した。

 

11月9日にフランスの原子力施設を統括するIRSNはルテニウム106の汚染が9月27日から10月まで、フランス国内で観測されたことを発表した。また計測ンットワークのデータを総合して、汚染源がボルガ河とウラル山脈の間としたが、直接的に健康被害をもたらす線量ではないとした。

 

100-300TBqと極めて高い放出されたルテニウム106は原子炉内で(他の核種とともに)生成される。医療用アイソトープや原子力バッテリーに使用される。汚染期間にルテニウム106バッテリーを搭載した衛星の大気圏突入はなかったため、衛星搭載のバッテリー起源ではない。原子炉事故でもなく医療用アイソトープにしては線量が大きいため、放出源は依然として謎に包まれている。

 

チェリャビンスク州といえば2013年に隕石が落下して広範囲に被害をもたらした。ルテニウム106は自然界には存在しないが3年も経過しており、今回の汚染との関連性はないがその時にもCTBTOが大気圏突入時の音を観測し、今回はフランスIRSNが設置した広域核種モニタネットワークが活躍した。冷戦時のずさんな核兵器製造と無関係とは言い切れないところが不気味である。