再生可能エネルギー比率100%への挑戦

07.03.2018

Photo: rastek

 

英国をモデルとして考えると、再生可能エネルギー比率は上昇傾向を続けており2017年の再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマス、水力)の全電力は1958年の電力消費を越えた。一方で、安定性や設備投資の課題が山積みの再生可能エネルギー比率100%への批判も相変わらず根強いが、先進国では総じて新規建設が頓挫している原発に未来を託せないことも事実である。

 

2050年に再生可能エネルギー比率が100%になるかどうかについては意見の分かれるところで、スタンフォード大学の研究チームは2050年までにエネルギー再生可能エネルギー依存を100%とするロードマップを作成したが、インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、2050年に再生可能エネルギー比率100%となる予想は楽観的と考えている(Heuberger and Mac Dowell, Joule online Feb. 26, 2018)。

 

クリーンコールなど新技術の展開を考慮した数学的モデルによれば、2050年の電力需要がエネルギー比率の多様化で対応可能であるという。これまでのエネルギー予測モデルは電力網、蓄電システム、電力供給システムなどのエネルギー源以外の要因が適切に考慮されていなかった。研究チームは英国をモデルとした場合には、2050年までに水力、風力、太陽光のみで再生可能エネルギー比率100%とする計画ではエネルギー不足に陥るとしている。

 

水力、風力、太陽光のみの再生可能エネルギー比率を77%に抑え、残りの23%を原子力とバイオマスで賄うとしても9%の電力不足が予想される(下図)。

 

 

Credit: Joule

 

この研究の趣意は再生可能エネルギー比率を高めることへの批判でも原子力比率を高める必要性を主張でもない。化石燃料火力から脱却して再生可能エネルギーへ転換しなければならないが、一方で時間的な変動のある再生可能エネルギーを需要に対応させて供給する分散型電力供給システムの構築を並行して進める必要がある。

 

再生可能エネルギーの特徴は、多くは原発のように拠点を持たない分散型であり、発電能力が時間的に変動することである。今回の研究は再生可能エネルギー比率はエネルギー源の整備だけの問題ではなく、変動するエネルギーを貯蓄して安定にオンデマンド供給するスマート蓄電・送電網に組み込むことの重要性を数学的モデルで明らかにしている。

 

再生可能エネルギー比率100%の社会での電力安全保障の検討も活発化している。再生可能エネルギーの課題を原子力に置き換える短絡的解決でなく、100%比率を念頭においた問題解決が問われている。