ヌーデイスト海岸に現れたボート難民

Nov. 9, 2014

 

 

  ベトナム戦争後、数多くの南ベトナム難民が国外に亡命した。海に面していることから、漁船や小船で逃げ出す難民が多く、このような人々を「ボートピープル」と呼んだ。南ベトナムのボートピープルはアメリカ、カナダ、英国、オーストラリアなどの先進国への亡命を目指した。


 

 その後、カンボジア、ハイチ、北朝鮮、チュナジア、内戦が続いたアフリカ諸国などのボートピープルが紛争や圧政などから逃れるため、しばしば国外に脱出したが、それはリスクを伴う行為であった。5日に発見されたボートピープルは西アフリカからの難民であった。


 

 スペインのグラン・カナリア島の海岸に突如、21名のアフリカ難民を乗せた船が打ち上げられた。問題は、その海岸とアフリカ難民の正体である。場所はマサパロマスの全裸で海水浴や日光浴を楽しめるヌーディスト・ビーチで、難民はエボラ感染が拡大しているシエラレオネとギニアの出身の人々であったことである。




 ヌーディスト・ビーチを訪れていた観光客は皆、全裸であったためパニックになり、当局も予期せぬ出来事に対応が遅れ難民は身柄を拘束されるまで、7時間海岸で隔離された。エボラ出血熱の症状を複数の難民が示していたため、赤十字の医療従事者が難民の検疫調査を海岸で行った。その後、ゴミ収集車で17人の難民は入管施設、4人は病院へと運ばれた。


 

 空港での検疫体制は強化しているが、カナリア島での難民事件のように、エボラ出血熱の感染拡大が危機的状況になるにつれて、エボラ感染から逃れたい人々やエボラの治療をうけたい人々の国外脱出が増えるとみられる。ヨーロッパ諸国のボート難民の増加や船の遭難事故への対策が急がれる。