ソロスが動かす世界政治(Part 1)

23.03.2016

Photo: slate.com

 

 ハンガリー系アメリカ人投資家のジョージ・ソロス氏が率いていた投資ファンドが原因で、経済危機が度々引き起こされてきた。経済面だけでなく、政治・文化・社会の各面でもソロス氏が率いる慈善事業、団体や組織を通じてアメリカを含め世界で政治的、社会的混乱を引き起こしている。

 

 

経済危機を誘発

 1992年にイギリス政府の為替介入に反して、英国ポンドへの空売りで15億ドルの利益を得たことで「イングランド銀行を潰した男」と呼ばれるようになり、ソロス氏は著名な投資家となった。この時、仕掛けた大量のポンド空売りが原因でヨーロッパ通貨動乱が起きる。

 

 その後も、ソロス氏が率いるクォンタムファンドは、1995年には、ドル売りで円相場は一時1ドル79円に急高騰、日本経済を混乱に落とした。また、1997年にはタイバーツの空売りで東南アジアから、台湾、韓国、日本での一連のアジア通貨危機を引き起こす。ソロス氏の発言で、市場は動くとまで言われるように、市場に強大な影響力を持つ投資家として注目されている。

 

 

政治的・社会的影響力

 ジョージ・ソロスはグローバリストで、左翼的思想家として有名である。国境や国家の概念の廃止、新しい世界秩序 (New World Order)、麻薬の合法化、中絶や安楽死による人口減少、ヨーロッパ型社会主義政治システム、アジェンダ21TTPI TPPなどの自由貿易協定などを提唱している。ソロス氏の思想を実現するために、慈善事業、団体や組織への資金提供を通じて, 政治的・社会的影響を及ぼし、目的を達成している。

 

 ソロス氏のネットワークの中心となるのが、オープン・ソサエティ財団、デモクラシー・アライアンス、ムーブ・オンとイデオロギー系のシンクタンクのアメリカ進歩センターの4つの組織である。ソロス氏はそれぞれの組織に巨額の資金を提供し、そこからさらにNGOや団体に資金が提供され、活動家たちのもとにお金が流れる仕組みとなっている。

 

 例えば、自由主義の過激左翼政治活動委員会のムーブ・オンは1998年にソロスが146万ドルで創立した組織で、実態は富裕層の民主党支持者や左翼思想家が資金を提供する支援団体である。そのムーブ・オンはブラック・ライブズ・マターの運動(注1)に資金提供をしている。黒人が抱える全ての問題を白人や警察管に責任があるとするイデオロギーを掲げる組織で、アメリカにおいて人種間の対立をつくり、白人や警察官への襲撃を行ってきた。ミズーリ州ファーガソンで起きた暴動を引き起こしたのがブラック・ライブズ・マターの活動家たちである。

 

(注1)「黒人の命も大事」という意味。

 

 また2015に問題となった全米家族計画連盟(家族計画や避妊、中絶を支援する団体)の中絶胎児の臓器売買事件が発覚しても、支援を続けているだけでなく、中絶反対団体の抗議活動への妨害を行ってきた。

 

 ドナルド・トランプ氏の支持者集会で抗議デモ、集会を妨害するやじや発言、暴動を起こしているのもムーブ・オンから資金を提供されているいわば、職業「アジテーター」たちである。彼らは政治活動を妨害するために動員された群衆である。ムーブ・オンは正式にサンダーズ民主党候補への支持を表明している。抗議活動でシカゴの集会が延期となったが、そのおかげで、ムーブ・オンはさらに、トランプ氏が共和党候補の使命を阻止しようとする反トランプ(グローバル・エリート)からの支援活動資金を増やしたとされる。