地中海で難民船の遭難が相次ぐ

Apr. 25, 2015


 



















 不法移民問題が世界中に広がっている。とりわけイスラム圏から欧州への移民が急速に増えているが、地中海を渡る移民は高い代償を強いられることになる。船自体が旧式で沈没の恐れがあるにも関わらず、限度を超えて不法移民を乗せた難民船が後を絶たない。


 不法移民を目指す難民の多くは欧州に渡ればより自由な生活が与えられると信じてお金を払って船に乗り込む。しかし4月18日深夜にリビア沖で転覆した難民船は800名の死者を出した。


 死をも覚悟して地中海を渡ろうとするのは、シリア、リビア、エリトリア、ソマリアから脱出しようとする難民達である。女子供を含む36,390人が2015年1月から4月21日までに欧州に渡った。


 国連の調べでは難民数は2014年度より増加しており、また地中海の海に消えた難民の数も急増している。2014年の4月の死者は96名であったが、2015年は4月だけですでに1,200名が死んだ。


 「アラブの春」以来、イタリアは最大の難民受け入れ国となっているが、南欧州の国々は上陸のためでその後の難民は欧州全体に広がって行く。この規模の難民数はベトナム戦争で100万人の難民が西欧に流入した時以来であるという。


 最も多い難民を出している国は5度目の内戦状態が続いているシリアだという。シリア難民は財産を使い果たし悲惨な内戦から逃れ安全な欧州に自由の生活を見いだそうと、危険な難民船に命を託す。シリアに介入する勢力は下に示すように、非常に多く紛争を複雑にしている。



 

 上の写真はシリアの内戦に苦しむ民衆。こうした生活から抜け出したいと思うだが現実に地中海を渡るリスクも大きい。

 

 次に多いのがエリトリアで、政府の抑圧が度を越して国民を追いつめている。18カ月間の徴兵のはずが、いったん徴兵されると無期軍役が待っている若者が脱出したくなるのは自然だ。

 

 アフガニスタン、マリ、ガンビアからの難民も目立つ一方、空爆の続くイエメン難民も加わると予想されている。こうした難民を支援するビジネスは傭兵組織と複数部族を介する複雑なシステムで、一人当たり400-500ドルを密入国支援者へ払ってライフジャケット無しの無謀な船旅へと向かう。

 

 今年の冬に死者が多く出た理由は1月、2月の天候が荒れたせいだという。夏場にはさらに多くの難民船が出港する。1年で168,000名を救助したイタリア海軍の部署は昨年閉鎖され欧州国境を守るOperation Tritonに置き換えられたが、すでに11,000名を救助したとされる。

 

 今年に入ってからの死者数が1,796名を越えたためEU執行部も対処を巡る会合を開いた。欧州各国が協調して難民受け入れの責任を負い、10項目のアクションプランを実行に移すことになった。しかし救助の現場ではその前に救助することが必要だと感じている。