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低コストの水素発生触媒ペントランダイト

ペントランダイト(硫鉄ニッケル鉱)(Fe,Ni)9S8はニッケル原料として豊富な埋蔵量であるため、貴金属を使用しない低コストの水素発生触媒として期待されている。ルール大学の研究チームはFe4.5Ni4.5S8の(111)面の走査型電気化学セル顕微鏡を用いて、水素発生効率が表面組成に強く依存することを見出した。

再生可能エネルギーの覇権を握る特定資源国とは

かつてのエネルギー資源大国といえば、石炭、石油そして天然ガスを大量に生産し輸出する国々であった。2050年以降とされる化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が完了する未来で、覇権を握る再生可能エネルギー大国はどの国なのだろうか。地球上に溢れる再生可能エネルギーだが、利用するには設備投資と特定資源の確保が鍵となる

新型電解質でEVの航続距離が飛躍的に向上

次世代のLiイオンバッテリーには電極の安定化による性能と寿命の向上が課題となる。パシフィック・ノースウェスト国立研究所の研究チームは新しい高濃度電解質により、Liイオンバッテリーの充電量が7倍に向上し寿命が向上することを見出した(Chen et al., Advanced Materials online Mar. 25, 2018)。

タンデムセル化で次世代太陽電池を目指すペロブスカイト

太陽電池の主流であったシリコンにエネルギー変換効率で肩を並べるペロブスカイトはコストを含めて、伸び悩む太陽エネルギー利用の救世主と期待されている。ケンブリッジ大学の研究チームはカリウムを添加することで、ペロブスカイト太陽電池のエネルギー変換効率が増大し次世代太陽電池の主流となる可能性が高まった(Abdi-Jalebi et al., Nature 555, 497, 2018)。

再生可能エネルギー比率100%への挑戦

2050年に再生可能エネルギー比率が100%になるかどうかについては意見の分かれるところで、スタンフォード大学の研究チームは2050年までにエネルギー再生可能エネルギー依存を100%とするロードマップを作成したが、インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、2050年に再生可能エネルギー比率100%となる予想は楽観的と考えている(Heuberger and Mac Dowell, Joule online Feb. 26, 2018)。

再生可能エネルギー源となる自然蒸発

コロンビア大学の研究グループは再生可能エネルギーとして初めて湖や貯水池の水の自然蒸発を評価した結果、全米の消費電力の70%に相当する325GWの発電能力を持つことがわかった(Cavusoglu et al., Nature Comm. 8:617, 2017)。

新型触媒で燃料電池製造コストが1/100に

カリフォルニア大学リバーサイド校の研究チームは水素を燃料とした高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)の貴金属フリー触媒を開発した。白金書屋バイト同等の性能でありながら製造コストが1/100になる新型触媒の登場でFCVや蓄電・発電デバイスの本格的な普及が加速すると期待されている(Tang et al., Small online Jan. 22, 2018)。

炭素系ナノ物質は燃料電池の正極材料に最適

Liイオンバッテリーの正極材料研究開発で実績のあるライス大学の研究グループは燃料電池の酸素還元触媒である白金の代替えとしてグラファイトN(B)ドープのカーボンナノチューブあるいはグラフェンナノリボンなどの炭素系ナノ物質が最適であるとする研究結果を発表した(Zou et al., Nanoscale, 2017)。

化学ループによる化石燃料からのシンガス製造

オハイオ州立大学の研究チームは効率よく化石燃料とバイオマスを電気や工業的に有用な人工燃料(シンガス)に変換するクリーンな技術の研究開発を行っている。CO2を使いシェールガスからメタノールと軽油に変換するこの手法は原料のシェールガスの代わりに石炭やバイオマスを用いることもできる(Kathe et al., Energy & Environmental Science, 6, 2017)。

脱合金ナノポーラス水分解触媒~水素社会へ向けて前進

クリーンエネルギーの一翼を担う燃料電池の燃料として水素は天然ガス(メタン)の水蒸気改質法に代わる新製造技術が模索されている。太陽エネルギーと触媒を用いる水分解反応は環境保全の点で理想的な水素製造法であるため、そのエネルギー効率を高める触媒開発が精力的に行われている。アルゴンヌ国立研究所の研究グループは最新の研究で、高性能の水分解触媒を開発した(Kim et al., Nature Comm. 8:1449, 2017)。

アゾベンゼンベースの光熱電池が高エネルギー密度達成

マサチューセッツ・アマースト大学の研究グループはアゾベンゼンをベースとした高分子電解質を用いた光熱電池でエネルギー密度~510J/g(最大698J/g)を達成した。研究グループはエネルギー密度に電解質溶液前処理と高分子薄膜のモルフォロジーが重要であることを明らかにした(Pyo et al., Nature Scientific Reports 7:17773, 2017)。

セパレータレス水分解による海上水素製造

コロンビア・エンジニアリングの研究グループは研究グループは海上に巨大な太陽電池パネルを浮かべ海水を電解質として水分解を行うことで、大規模な純水素(99%)製造が可能であることを示した。(Davis et al., Int. J. Hydrogen Energy online Dec. 15, 2017)。鍵となるのは水素と酸素を分離回収できる電極構造である。

ワン・プラネット・サミットはエネルギー・セクターのビルダーバーグか

新首相の元で環境対策に熱心なパリ議定書の議長国であるフランスは、12月12日から、再びパリで気候変動の対策を議題とするワン・プラネット・サミットを開催している。会議では化石燃料から脱却したグリーンエネルギー化のために、国境を超えて取り組もうという趣旨の元で、分野ごとに対策が協議された。

酷寒でも高性能なLiイオンバッテリー

氷点下の気温ではLiイオンバッテリーの蓄電量が低下する。これは寒冷地のEVにとっては致命的な問題となる。中国の復旦大学の研究者グループは寒冷地に強い前リチウム化炭素陰極とLiイオンを含む陽極を開発した(Liu et al., Angewandte online Nov. 30, 2017)。新たに改良した前リチウム化炭素陰極の採用で低温でもインターカレーションが妨げられない特徴を持つ。

トランプ政権の予算削減でITER建設に遅れ

トランプ政権は2017-2018年度予算を1.05億ドルから5,000万ドルへ50%削減、2018年度は1.2億ドルから6,300万ドルに削減した。ITER参加国には10年間の建設期間中の脱退は認められていない。また負担金に大幅な縮小があると建設に遅れが生じ、予定期間に完成しない恐れがあることから、ITER側は米国に当初計画通りの負担額を要求している。

低炭素電力の環境負荷~2050未来予測

ポツダム気候影響研究所の研究グループは長期サイクルでみた化石燃料と非化石燃料の温室ガス排気のライフサイクルアセスメント(環境影響評価)を行った。研究グループはエネルギー、経済、土地、消費、気候への影響を統合したグローバルモデルを構築して、未来社会の低炭素電力システムに関する環境影響評価の結果を公表した(Pehli et al., Nature Energy 2, 939, 2017)。

日本近海で発見された1600万トンの希土類資源

希土類金属を含む磁性体でつくる高性能磁石は付加価値の高い輸出製品である。日本は希土類金属消費量で世界2位だが、原材料を中国からの輸入に大きく依存している。希土類に頼らない磁性体の研究も加速している中、早稲田大学の研究チームの研究で最近日本周辺に半永久的に世界的な需要を満たすのに十分な量の希土類が埋蔵されていることがわかった。

光格子緩和で効率が増大するペロブスカイト太陽電池

これまでの太陽電池材料のほとんどは太陽光照射下でエネルギー変換効率が劣化する経年変化の問題を抱えていた。これに対してエネルギー変換効率でシリコンに迫る勢いのペロブスカイト材料では、逆に太陽光照射で逆に効率が向上する。ロスアラモス国立研究所の研究チームは長時間照射によって、格子緩和が生じるため格子歪が取り除かれ、エネルギー変換効率を増大させることを見出した(Tsai et al., Science 360, 6384, 2018)。

グラフェン酸化物で進展するLi金属バッテリーの電極問題

エネルギー密度で圧倒的に優位な第三世代LiイオンバッテリーとなるLi金属バッテリーだが、10倍高い容量となる代償(致命的な欠点)は、充放電サイクルと共に電極に移動する際の金属Liの不均一な成長で、この電極問題のために実用化されていない。イリノイ大学の研究チームはこの問題をグラフェン酸化物ナノシートを電極間に挿入することで、金属Liの平坦化を実現した(Foroozan et al., Advanced Functional Materials online Feb. 07, 2018)。

ホワイトグラフェン(BNナノ構造体)による水素貯蔵

単位重さあたりの貯蔵エネルギー量が化石燃料を圧倒する水素は、再生可能エネルギーを貯蔵する有望な化学物質である。ライス大学の研究チームはホワイトグラフェン(h-BN極薄膜)層が5.2Å離れて積み重なったナノ構造体が理想的な水素を貯蔵物質となることを明らかにした(Sakhavand and Zhao, Small Online 1Mar. 08, 2018)。

ペロブスカイト太陽電池の効率が21.6%に

スイス連邦工科大学ローザンヌ校の研究グループはルビジウムを添加した新しいペロブスカイト材料で世界最高のエネルギー変換効率を達成した。同時に、これまでペロブスカイト材料の弱点であった熱安定性を克服し、高温でも安定な出力を維持できる新型ペロブスカイト太陽電池の開発に成功した(Sakiba et al., Science 354, 206, 2017)。

世界139カ国を再生可能エネルギー比率100%にするロードマップ

再生可能エネルギーを主要な電源とするには様々な問題が累積している。その中でも不安定な出力はベース電源となり得ないとされて来た。最新の研究でスタンフォード大学を中心とする研究チームは、再生可能エネルギーで世界20地域139カ国の電力需要を賄えると主張、そのための手法を発表した(Jacobson et al., Renewable Energy online Feb. 3, 2018)

経済的持続性が低すぎるシェールガス発電

マンチェスター大学の研究チームの最新の研究ではシェールガスは持続性に問題があるため、未来を託すことはできないことが明らかにされた。研究結果はシェールガス発電は9種類のエネルギー源の選択肢の中でも7番目と、もっとも適さない部類に入ることを示した(Cooper et al., Sci. of The Total Env.ironments 619-620, 804, 2018)。

窓型太陽電池でエネルギー自給する未来住宅

ケンブリッジ大学の研究グループは窓ガラスに色素増感型太陽電池を取り付けて発電する新しい概念の太陽光パネルを開発した。研究グループの提案する住宅の窓ガラス太陽光パネルは、色素増感型太陽電池の世界最高効率(14.3%)で、送電網への依存度が低い持続的なエネルギー供給が可能になるとして、未来都市のエネルギー問題の解決に役立つと期待されている(Zhang et al., J. Mat. Chem. A 37, 2017)。

ペロブスカイト膜(ITM)で排出炭素から燃料を製造

MITの研究グループはLCF-91と呼ばれるLa、Ca、Fe酸化物を含むペロブスカイト(

La0.9Ca0.1FeO3-δ)膜に火力発電所から排出されるCO2ガスを通してCOとし、水素化して炭化水素としたり、水と反応させてアルコールとして炭素軽減とカーボンニュートラル燃料に使う一石二鳥となる秘術を開発した(Wu et al., ChemSusChem online Nov. 4, 2017)。