米国ミレニアム世代に忍び寄る社会主義

23.08.2018

Photo: alphanewsmn

 

 議会を前に、ベネズエラのマドゥロ大統領は8月2日、これまで進めてきた社会主義政策の失敗(注1)を認めた。一方、米国では最大の世代であるミレニアム世代の過半数以上が社会主義や共産主義を支持、その支持はオバマ政権中から拡大傾向にある。

 

(注1)インフレ率は40,000%以上、IMFによると2018末には1,000,000%に達すると予測、ベネズエラは経済破綻状態である。

 

社会主義化する米国ミレニアム世代

 世論調査会社(YouGov)と共産主義犠牲者記念財団(Victims of Communism Memorial Foundation)が2017年に行った調査では、ミレニアム世代(1977年から1996生まれ)の約45%は社会主義国、7%は共産主義国で生活することが好ましいと考え、資本主義国(42%)より社会主義を支持する割合が高い。

 

 これまで米国社会を支えてきたベビーブーマー世代(1946年から1964年生まれ)はその正反対で、大多数は資本主義を好ましいと考え、社会主義を支持する人は26%にすぎない。ソ連との冷戦時代に育ったこの世代は、資本主義は自由の象徴と考え、資本主義支持率が高い。

 

社会主義の失敗に学ばない世代

 驚くべきことに、ボリシェヴィキ革命から101年、これまでの共産主義や社会主義政権での恐怖政治、虐殺、経済破綻、人権侵害などの歴史についてミレニアム世代は学んでこなかったことである。なんと5人に1人はスターリン、レーニン、毛沢東を支持していたのである。10人に6人はベネズエラのマドゥロ大統領や社会主義政策がもたらした国家破綻の現実や、共産主義や社会主義の政治経済的定義の知識をもっていなかった。

 

 アメリカ青年社会民主主義団体の全米の大学における公式支部は2016年の16から2018年には57に拡大している。リベラル派の大学では特に学生の関心は高く、トランプ大統領の就任以降、支部の設立が拡大している。

 

社会主義支持の背景

 ではなぜ、資本主義の代表国である米国で社会主義への支持が拡大しているのだろうか?ミレニアム世代は冷戦時代の後に成人を迎えたため、ソ連時代の共産主義の知識を持たない。むしろ社会主義と言えば、デンマーク、スェーデンやノルウェイなどの北欧の寛大な社会保障制度のイメージが強い。つまり、社会主義は「分かち合う」「平等」と解釈、大学の無料化、無料の健康保険、雇用の保障、格差のない社会と考えている。しかし、彼らは社会主義を都合の良い制度と捉え、この社会保障制度を維持するには高い所得税による税源が必要であることまでは考慮しない。

 

 リーマンショックの金融危機は社会主義の支持がミレニアム世代の間で拡大する大きな引き金となった。資本主義が機能しないことで格差が拡大、資本主義は偏見や差別的な社会を生み出すシステムと考えるようになった。全ての社会問題は私欲を追求する資本主義が原因とされた。かつてマルクスが資本主義を諸悪の根源と決めつけた論理の復活である。

 

歴史は繰り返すか

 リベラル教育を受けたミレニアム世代は民主党支持者でもある。その民主党の政策も社会主義化している。2016年のアメリカ大統領選における民主党候補のバーニー・サンダーズ氏(民主社会主義者)はミレニアム世代から厚い支持を受けた。格差是正、大学無料化(教育支援制度)、国民保険制度の導入など社会保障制度の導入を公約にしたことで支持を集めたのである。

 

 最新のギャラップ世論調査では、民主党支持者の57%は社会主義を支持、70%の共和党支持者は資本主義を支持した。年齢別に見ればミレニアム世代の支持が最も高い。米国の社会主義化はミレニアム世代の動向次第では現実化する可能性も出てきた。歴史は繰り返すとは名言である。本質をことば巧みに隠して無知だが行動力のある若者を取り込み、扇動して革命を起こした時代が蘇るのかもしれない。