電子産業の宿命ーデフレビジネス Part1

Oct. 11, 2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ノーベル賞の栄誉に輝く青色LEDは日本型の技術開発の典型といえる。発明とは必要に迫られて生まれるものであるから、モノを作らない、作れない環境が続けば科学技術の衰退に繋がる。SONYが分社化で身売りし、大手半導体メーカーは統合されても世界シェアが伸び悩んでいる。最悪の状況にある日本の半導体産業は今後、復調するのだろうか?

 

 残念だが非常にきびしいと考えざるを得ないが、それは日本だけではないのだ。ここまで独走してきたサムスンはスマホビジネスの予想外の落ち込みで日本の半導体産業と同じ道を歩みつつあることがはっきりした。日本はアメリカと同じ道を歩んでしまい、アメリカの失敗を学べなかった。この世の現実存在はすべてが常に流動変化する鉄則を教えてくれたはずだが、これを無視したことがアジア半導体産業をひっくるめて最大の敗因かも知れない。

 


 これまで日立・TIのツインスターや、SONY・富士通などの半導体メーカーは合弁会社を設立しては、解散を繰り返した。一般的には企業連携にはグループを形成し、敵対するメーカー同士は合弁を避けるのが常識であった。現実には掟破りともいえる野合による合弁が起きた。日立・三菱のエルピーダにライバルであるはずのNECが加わり、国内はエルピーダと東芝との二強体制となった。世界的シェアではエルピーダと東芝が一緒になっても、サムスンには及ばない。半導体事業の合弁で生じる内部対立や社風の違いによる摩擦を乗り越えることはできたが、内向きの傾向が続きすぎた感がある。

 


 今後の情勢をまとめておさらいしみよう。メモリビジネスは価格変動が大きく安値が続く現在では過半数のシェアを握るサムソンですら、利益を挙あげられない。薄利多売の消費材(コモデテイ)化したからだ。そこで付加価値を高めたカスタマイズLSIへの転身が考えられるが汎用性のあるチップは専門企業に押さえられているcpuやmpuを除くとここでも販売を増やすことはできなかった。

 

 東芝に復調の兆しが見えるのは、サンディスクとの共同開発によるフラッシュメモリの需要が伸びてきたためだ。フラッシュメモリは携帯電話、PDA、携帯音楽プレイヤー、デジタルカメラや、HDDの代替え(SSD)として利用範囲が拡大している。小型化、大容量化、低価格化の項目でHDDとの差別化、巨大化したソフトウェアに整合する大容量化(注)シェア拡大の鍵になる。今後は用途と規格を整理して汎用メモリからSOCへの転換をはかることが必要であろう。

 


(注)MacBook AirはSSDで128GBか256GBが選択できるが128GBで購入しNifty minidriveでmicro SD64GBを追加すれば192GBを使い切るのがおすすめだ。通常のSDカードも差し込めるがでっぱるので不便。起動スピードや対衝撃性などSSDを使いだせば、なかなかHDDには戻れないので、フラッシュメモリの用途はこれからも増加が続くと予想できる。HDDの標準である1TをmicroSDで置き換えたコストが等価になればHDDは駆逐されるかも知れない。