タイで絶対やってはいけないこと

Oct. 6, 2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タイ行きのフィリピン航空の機内雑誌に、タイは観光には安全な国であるが、タイでやってはいけない事が3つあると、書かれている。

①外出の際、パスポートを忘れないこと。常に、どんな時でも、パスポートを持っている事。
②赤いTシャツを着ないこと。赤は現軍事政権を支持しないグループ(注)を象徴する色であるから。
③ジョージ・オーウェルの「1984」の本を持ち歩かない、または公共の場で読まないこと。反対派に広く読まれていて、本を持ち歩く行為が、現政府に対しての抗議の象徴となっているからである。現に逮捕者も出ている


(注)2006年に軍事クーデターにより失脚したタクシン政権の支持者は赤シャツ党と呼ばれ赤シャツを着ていた。ちなみにムッソリーニのファシスト党の民兵組織は黒シャツ隊と呼ばれた。その他にも「突撃隊」として知られる国家社会主義ドイツ労働党の支援組織は「褐色シャツ隊」と呼ばれた。



 中世のヨーロッパでは、ローマ・カトリック教会がローマ・カトリックとは 意見の異なる書物を発禁処分として、膨大な知的財産が失われた。 反権力と判断された書物だけではなく、一般の慣習を逸脱したとみなされる文化や思想の書物や芸術も発禁処分となることがある。最近でもダンブラウンの「ダビンチコード」が中東で発禁となった。軍事政権が監視社会ととられたくないというのは不思議な気がするが、発禁はネット社会では効果がない。



 ジョージ・オーウェルの「1984」は管理社会を描いたが、ソ連の未来が描かれたとしてスターリンが1950年に発禁処分とした。皮肉なことにソ連が崩壊した現在、イデオロギーによらず世界各国で監視カメラが街中にあふれ、国民は監視されていると感じている。「1984」はいち早く警察国家への警鐘を鳴らした。行き過ぎた国家の監視は米国のNSAによる盗聴が明るみにでたことで広く認識された。従来のメデイアが権力によって支配されようとも、ネットを規制することは中国の「グレートファイアーウオール」(注)ですらできていない。若い世代はスマホで簡単に壁を越えて行く。一度でも外の世界をみたら壁の内側が灰色の景色にみえるだろう。もはや発禁など反権力の勲章で実質的な効果はほとんどない。権力を握ろうとする者にはネットは厄介な存在だが安全装置として立派に機能しているのだ。

(注)中国本土にわたるネット検閲目的のファイアーウオール。都合の悪い検索ができなかったり、特定サイトにアクセスできないのはこのためである。若い世代はVPN接続で外にでることを「壁を越える」という。いくつかの方法があるがたいしてお金はかからない。壁を越えた若者は目が輝いている。