核大国を目指す北朝鮮

Apr. 23, 2015

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 中国の核専門家によれば北朝鮮に配備されている核爆弾の数は20以上で来年には倍増することが可能なウラン235の濃縮ができるという。


 北朝鮮のこの核配備能力はアメリカと西側諸国の推定(10-16個)を上回る。ジョンホプキンス大学の米韓研究所は今年、北朝鮮が5年以内に20、50、100個の核を有する核大国となる3つのシナリオを発表している。


 中国の専門家によれば昨年までにすでに20個を保有しており、2016年までに40個保有するという。これは第2のシナリオに相当し確度が高まった。

 


 

 北朝鮮は過去3回の核実験を行なっているが、最近では2013年2月であった。ロスアラモス国立研究所元所長のSiegfried Hecker(スタンフォード大)は20個の核が全て実戦配備(核弾頭)なのが問題だ、としている。

 

 北朝鮮の核配備能力の評価も困難である上に、いったん実戦配備された核の廃棄はさらに難しい。今月、アメリカ北米司令部のWilliam Gortney司令官は北朝鮮がミサイル搭載可能な核爆弾の小型化能力を有している、と語った。

 

 北朝鮮は2013年にNPTを脱退し、2006年、2009年、2013年に実験を強行した。寧辺の50MW、泰川の200MWのプルトニウム生産に都合の良い大型黒鉛炉の建設は中止された結果、プルトニウム型から濃縮ウラン型に切り替えて20キロトンクラスの核弾頭の生産に移行したとみられている。


 黒鉛型原子炉は一般的な軽水炉(BWR、PWR)より出力が小さいがプルトニウム取り出しが容易だという特徴がある。このためコールダール型と呼ばれる黒鉛型原子炉が英国北部に建設され、英国の核武装に必要なプルトニウム生産に使われた。

 

 北朝鮮はウランの埋蔵量が多いため、ウラン濃縮型で核爆弾の大量生産が原理的には可能である。また北朝鮮は寧辺に30MWの実験用軽水炉を建設中でありこれを利用して黒鉛炉を使わずに兵器グレードのプルトニウムも製造可能で3つの原子炉のフル稼働で、年間5個〜9個の原爆を製造することが可能とする米国シンクタンクの報告もある。

 

 

 「パンよりも武器」を目指して、核大国への道を選んだ北朝鮮は中東と並んでアジア太平洋の脅威となった。下の写真は偵察衛星が撮影した原子炉周辺の新しい動き。