FRBの監査を求める動きが再び強まる

Feb. 13, 2015

 


 

 

 米国の金融政策の策定と実施, そうして世界各国の金融政策に大きく影響を及ぼす米国連邦準備制度理事会(FRB)は、設立以降一度も外部監査を受けたことがない民間金融機関である。今、そのFRBに対する監査を求める動きが再び強まっている。


 

 ロン・ポール下院議員(共和党、テキサス州)は、2013年に引退するまでの16年間、FRBに対する監査を求め、「FRB透明化法案」の成立とFRBの解体」を追求してきた。今回は、息子であるランド・ポール上院議員(共和党、ケンターキ州)と30人の上院議員らと共に、「S.264、 2015年連邦準備制度透明性法案」を議会に提出した。この法案が、下上両院で可決されれば、会計監査院はFRBに対して全面監査を行うことができるようになる。

 


連邦準備制度の設立

 1910年にJ.P.モルガンが所有するジョージア州のジキル島で、当時の2大銀行のモルガン銀行とロスチャイルド銀行のメンバーによる秘密会議で連邦準備制度の設立が合意され、1913年に設立された。設立の目的は、米国ドルと銀行の健全性と安定、そうしてビジネスサイクル(好況と不況の景気循環)の減少と安定を図ることであった。


 米国に12の主要都市に散在する連邦準備銀行を統括するのが、中央銀行としての役割を持つ連邦準備制度理事会である。株主はシティバンクやJPモルガン・チェース銀行といった3,000以上の銀行で、日本と違い政府は株主参加していない。

 


米国会計監査院(Government Accountability Office GAO)による監査

 会計監査院は議会の付属機関であり、連邦政府の予算がどのように使われているかの会計監査を行う。今回の法案が可決すれば、監査院はFRBに対して、あらゆる情報の提出を義務付けられる。つまり、これまでFRBがひた隠しにしてきた市場操作、好況と不況の景気循環を生み出す金融政策、資金貸出業務、各国中央銀行との密約、不良債権処理、などの詳細が公開されることになる。


 去年に行われた中間選挙で、上下両院ともに共和党が過半数を占めたことから、今回に法案が可決する可能性はこれまでと違って、非常に高い。アメリカ国民の間でもFRBに対する監査の支持は74%と高いが、法案を支持しない抵抗勢力は、アメリカ政治に多大な影響力を持つため、法案の可決が確実とは言いきれない。

 


 中央銀行の透明性また廃止の動きはヨーロッパ、特にドイツでも支持を集めている。法案が可決すれば、世界中で中央銀行制度を見直す大きな流れとなるのは間違いない。だれもが、外部監査を受けない民間銀行が一国の経済、そうして世界の金融システムを動かしていることに疑問を持つようになってきている。


 アメリカ憲法の第1条第8節第5項には、議会は貨幣を鋳造、貨幣の価値を統制、貨幣の重量と基準を決める義務があると記されている。1792年の貨幣鋳造法では、造幣局の職員は詐欺、使い込み、そうして貨幣価値の低下を禁じている。これらの行為は深刻な犯罪とみなし、有罪となれば刑罰は死刑であった。したがって、FRBがこれまで行ってきた金融政策は、アメリカ憲法によれば、重大な犯罪行為と考えてもおかしくない。