ロボット兵器を配備するロシア

04.01.2016

Source: stuff.co.nz

 

2015年9月に下賜されたロシアのシリア空爆では潜水艦から発射した射程の長い巡行ミサイルKalibrなどの新型兵器が使われてその脅威を西側諸国の軍事アナリストたちの話題となった。中国同様に軍の近代化を推し進めるロシアが新たにロボット戦争につながる兵器の配備を行うことがわかった。

 

ターミネーターやトランスフォーマー、パシフイックリムなどロボット戦争を描いたSF映画は多い。また日米のロボット製作者が重量級ロボット同士を戦わせる企画がネットで話題となるなどゲームや映画の世界で活躍するロボットを兵器として使い、兵士の代理として戦わせるのがロボット戦争である。アフガン戦争で米国が投入したプレデターはゲーム感覚でピンポイント攻撃を行った。また偵察用ドローンは世界各国が米国にならって配備を進め、民間用にもRCドローンが市場に溢れた。

 

 

警告されるロボット戦争リスク

一方で著名な天体物理学者のスティーブン・ホーキング博士、電気自動車のテスラ・モーターズを創業したイーロン・マスク氏、それにアップルの共同創設者であるスティーブ・ウォズニアック氏などがロボット兵器による戦争リスクの警告文書に署名した。

 

特にIT企業のトップがロボット戦争に危惧する背景には「人間の命令に背くこともできるロボット」の開発に代表されるように、AIがロボットの原則である「人間に逆らわない」とい原則を必ずしも守らなくて良いという原理の逸脱した存在になりつつあることを認めているからである。

 

映画「2001年宇宙の旅」ではハルという人工頭脳が謀反を起こす。「ターミネーター」では地球の安全保障のための軍事AIが謀反を起こし核戦争を引き起こす。

 

 

ロボット兵器で近代化するロシア

ロシア軍は近代化の一環として2016年からロボット兵器の実戦配備を開始することを国防総省幹部が認めた(Krasnaya Zvezda紙)。陸上部隊と艦船用のロボット兵器は2020年までに完了するロシア軍の70%に対する近代化の一環として行われる。

 

ロシア軍の近代化の費用は2840億ドル(日本円にして約3400兆円)となる。習近平が30万人に及ぶ中国軍人の解雇に踏み切ったのは平和を目指すものではない。近代化によって世界への軍事的影響力を高めるためで、特に海洋進出に重点をおくことが4隻体制の空母や南シナ海への進出、さらにジブチの基地建設などによって明らかである。

 

 

各種ミサイル、防空システム、潜水艦、空軍機、陸上兵器いずれにおいても攻撃の瞬発力と機動性が向上する。誤作動や判断ミスを防ぐ指揮系統にの冗長性が強く求められる。これまで圧倒的な軍事力を背景にした米国による力の均衡はロシアと中国の軍の近代化によって様変わりを余儀なくされているが、ロボット兵器の登場はこれらの国々はロボット戦争を未然につながらないしくみを編み出す必要と責任がある。