ニューマドリッド断層による北米地震リスク

08.02.2016

Image: wood/wirt county

 

ニューマドリッド断層とは北米のミシシッピ川を挟み込むように南北に走る断層である。この断層で大地震が起きた時には13,000人が犠牲となり甚大な被害となることが指摘されている。地震によって土地が沈み込むことにより地震が収まって津波が引いた後の地形はそれまでと全く異なるものになる。FEMAX地域に当たるオレゴン、ワシントン、アイダホ、アラスカは西海岸に沿って走る5号線(Interstate 5)より西側は全て影響を受けるとされている。

 

カリフォルニアのサンアンドレア断層は地震の多いことで有名でカスケード山脈に沿ったこの断層は北カリフォルニアからバンクーバーまで1,000km以上にわたる。断層由来の大地震はこれまで243年ごとに起こることが知られているが太平洋岸北西部地域は72年も平均サイクルを超えていて、M8.0-9.2クラスの大地震が起こるリスクが高まっている。

 

下のマップは北米の地震多発地域を示している。太平洋岸と中部のニューマドリッド断層に集中していることがわかる。

 

 

Source: examiner.com

 

2011年の地震はM9.0で犠牲者15,000人であったが、北米の大地震が起これば過去最大の自然災害をもたらす。FEMAはこのため北米大地震を想定した緊急対策を策定した。FEMAのシミュレーションによるとカスケード山脈を震源とした同程度の地震で13,000人が津波の犠牲となることが示された。

 

太平洋岸北西部地震によってカナダからサクラメントに至る広範囲の海岸に面した都市と砂浜が津波の被害を受ける。しかしこれまで北米の大地震は少なかったため地震対策が十分ではない。特に津波警報が出た後の緊急避難が問題となる。

 

FEMAが警戒するのはんユーマドリッド断層に起因する地震のほか、太平洋岸北西部の地震である。北米で観測される小規模地震の数が増えてきており、(一部はシェールオイル・ガス掘削による地盤の弱体化に起因するが)、エネルギーが蓄積され一気に地震で放出されるリスクが高まっていることを示している。

 

世界的にはリングオブファイアーと呼ばれる大西洋を囲む地震と火山の多発地帯の観測頻度が高まっている(下の図参照)。