バブル崩壊のリスクが現実となる2016年

14.01.2015

Photo: activist post

 

 FRBと共に世界の中央銀行がとった異例な金融緩和政策がもたらした国際的な資産バブルが、今崩壊に向かっている。2001年のITバブルと2008年のサブプライムバブルは、その前の年に実施した金利の利上げと高金利維持の政策が、バブル崩壊の引き金となった。昨年12月に実施した0.25%の利上げ。2016年は「資産バブルの崩壊の年」と多くのエコノミストは提唱している。

 

金融緩和政策の代償

 ローレンス・サマーズ元財務長官の13インタビューで、金融緩和政策に関して次のように述べた。

 

 「2010年又は2011年に世界は金融ショック状態であったと言える。だが、2016年になっても同じような状況に向かっているとなれば、個人的な意見として、少なくとも10年弱前にとった金融政策は、やるべきでなかった上、今後私たちはその代償を払うことになる。」

 

 下落する商品価格に関しては、「様々な要因を指摘するが、需要の減少が主な要因であることは明白である

 

 株式市場に関しては、「少なくとも、秋まで下落傾向にある」「RBSの警告通り、現時点では保有する株を全て売却するべき

 

 2016年にFRBが実施予定の4度の利上げに関しては、「今の世界経済の状況では、4度の利上げを耐えることはできない。市場も私と同じ考えで、そのため、市場は利上げがないと見ている。」

 

 

S&P 50075%下落する可能性

 仏ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、アルバート・エドワーズ氏も13日のレポートのなかで、世界の株式市場の下落をFRBの金融緩和政策による資産バブルの崩壊であると示唆した。世界経済は、FRBの債権買い取りプログラムによる、株価の上昇と新興市場での経済成長に頼ってきた。金融緩和政策が終了し、金利の利上げによって、意図的に作られた資産バブルは維持することは出来なくなったのが現状である。「バブルの崩壊で、好景気のイルージョンは壊れた。」と述べている。

 

 中国に関しては、問題は為替レートにあり、人民元が高いことで難しい対応が求められている。大幅な切り下げを実施すれば、中国からの資金流出に歯止めがかからなくなるからである。また過剰投資を行ってきた製造業では、世界市場で需要が減少するなか、中国製品の価格はさらに低下、「欧米の製造業は価格の下げ止まりがない中国輸入品で打撃を受ける。米国では、経済に占める割合が低い製造業でも、デフレは製造業からサービス業に波及するであろう。」と指摘。

 

 最終的に、景気交代、不況のリスクを下げるため、既にゼロに近い金利と拡大したバランスシートを抱えているFRBは、マイナス金利と新たな金融緩和策を実施しても、バブルの崩壊は止められず、S&P 500株価指数は最高値の2100から75%下がる可能性があると警告を発した。

 

 

投資家が恐るべき「崩壊的な年」

 英国最大の銀行グループのロイヤルバンク・オブ・スコットランドRBS)は、顧客に2016年は「崩壊的な年」となり、世界はデフレ危機に直面していることから、世界の主要株式は1/5まで暴落する可能性が高いため、「保有している株を全て売却するべき」と警告を出した。2008年のリーマンショックの前の状況に類似性が多いと分析。さらに原油価格は1 ベレル16ドルまで下落する可能性が高いとしている。

 

 

米国最大の銀行JP モルガン・チェース

 「株価の上げで、株を売るべき」と投資家にアドバイスを7年ぶりに出したのがJPモルガン・チェースである。これまで、株価の安値で株買いを進めてきたが、今は株価の上昇で株売りの状況となった。「チャート分析でも明らかであるが、企業業績の悪化の予想、製造業の低迷と下落を続ける商品価格は警告のシグナルである」とストラテジストのMislav Matejkaはレポートで顧客に注意を出した。