鬼城化する高層アパート

Jan. 15, 2015

 

 中国の不動産バブルを話には聞いていたが、行ってみると驚愕さえ覚えるものであった。とにかく凄まじい数に圧倒されるのだ。上海から北京までの新幹線沿線の駅前は高層アパートと隣接したショッピングモールが目立つ。高層アパート群と巨大ショッピングモールの複合施設は日本では珍しくない。規模を除けば日本の沿線によくある風景である。



 しかし夜の高層アパート群は別の表情をみせる。それらは暗闇にとけ込み、日中の圧倒的な存在感は消え去る。暗闇が暗黒物質のように広がり見上げても星がみえないのは不気味だ。アパートに限らず、中国の高層建築物には共通点がある。日本では外装が終われば内装に移り、別業者が電気や水道、排水設備、インテリアを整備してオープンとなる。ところが中国では事情が違う。できた部分があれば1階からオープンして人を呼び込むのだ。


 ショッピングモールではオープンしていない区画は壁で遮られ、まるで工事現場に客を入れたような感じだが、現地の人間はそれが普通だと思っている。中国の建築物の弱点は排水設備とガラス窓である。排水管は狭く金属性なので詰まったりさびて水漏れが起こる。トイレの使用に不安を覚えているアパート居住者はやがて水の被害を経験することになる。



 アパートの多くはユーテイリテイ工事無しの外装完成までで完成となり、入居者募集が始る。入居者が契約すると資金ができて内装に取りかかる。そのため入居者が集まりその階がふさがると上の階に移行して、徐々に内装が完成して行く。入居者がないといつまでも外装のみで放置するので夜間は暗闇の世界となる。ゴーストタウン化すれば「鬼城」と呼ばれるが、中核都市でも夜間暗闇となる高層ビル群はかなりの数である。



 中国の高層アパートの住居率は公表されていないが、地方都市では相当低いと考えられる。現地の人にきくと政府は農民に住ませて都市部に人口を集めたいらしい。しかし農民が購入できる価格でないので、内装が完成しない状態で放置される。大半は投資目的なので居住者が入らなくても、(不動産バブルが続く間は)未完成でも良い。建材の質が悪いので老朽化が速い。やがて不良債権化する高層アパート群は闇金融で成り立つ中国経済そのものである。