食品の遺伝子組み換え表示を巡る争議

17.12.2015

Photo: PLOW to PLATE

 

7月に米議会下院で、GMO(遺伝子組み換え)食品表示を阻止する法案が可決された。法案名称は「2015年の安全で正確な食品表示法」H.R.1599、であるが、別名DARK法(Deny Americans the Right to Know)つまり「アメリカ人の知る権利を否定する」と呼ばれている。16日に上院で通過すれば、GMO食品表示がなくなり、州政府や自治体が食品表示義務を制定してもそれを無効とする。

 

 

GMO食品成分表示法が阻止

 現在メイン、コネチカット及びヴァーモントの3つの州ではGMO食品表示を義務付ける規則がある。州によっては、GMO作物の栽培を禁じるところもある。

法案が成立すれば、表示がなくなるため、食品成分に遺伝子組み換えの物が含まれているかを知ることはできない。消費者は知る権利と、より安全で健康的な食品を選択する権利が奪われることになる。

 

 11月にアメリカ食品医薬品局(FDA)は、「フランケンフィッシュ」とも呼ばれている遺伝子組み換えサーモンを食品として認可した。遺伝子を組み換えた動物が食品と認可されたのは初めてである。FDAが安全な食品として認定するのに必要な基準を満たしているとして認可したことから、遺伝子組み換えの表示は義務付けられない。つまり、消費者は天然または養殖か遺伝子組み換えの鮭かは区別することはできない。

 

 

国民はGMO食品表示を要求

  GMO食品表示に関しては、国民の関心は高く、全米30州以上で表示を義務付ける規制を求める運動が行われている。これまでのメディア世論調査でも、国民がGMO食品表示を支持していることが明らかである。

ニューヨーク・タイムズ紙93%がGMO食品表示を支持、70%は遺伝子組み換え食品は健康に悪いと考えている。

 

ロイター93%はGMOを含む食品は全て表示の義務付けを支持

 

ワーシントン・ポスト紙95%はGMO食品表示の義務付け支持

 

2014年消費者レポート92%はGMO食品表示の義務付け支持

 

 

Photo: Earth Heal

 

国民より企業を優先する政府

 国民の90%以上が表示規制を求めているにも関わらず、政府が国民の意向とは反対に表示の義務付けを阻止する法案の成立を目指すのは、表示規制を阻止したい食品業界やバイオ、化学薬品企業の影響と圧力がある。法案は、食料品製造業者協会が草案、モンサントなどバイオ・化学薬品メーカーが支持、業界支援を受けている政治家が表示規制の阻止に動いた。

 

 実に1990年以来、1億1510万ドルが法案に賛成した下院議員に政治献金として渡たったとされる。食料品製造業者協会はロビー活動に410万ドル、ペプシーとモンサントはそれぞれ250ドルと260ドルが使われたと報告されている。食料品製造業者協会には、食品の製造や加工食品に含まれる遺伝子組み換えの原材料を表示するためのコストとそのことによる売り上げへの影響を恐れて、法案の成立を求めている。その背景には、加工食品の70%に遺伝子組み換えの原材料が含まれているからである。