オバマの移民対策−Part1西アフリカ難民

Nov. 22, 2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 オバマ大統領は議会で法案を通すことなく、大統領令の実施により、米国内の不法移民500万人に対し強制送還の対象から外す移民制度改革を発表した。だが、前日にこれとは別に注目すべきもう一つの移民救済策を発表したのである。それはエボラ出血熱が拡大を続けている西アフリカ3カ国からの不法移民を対象とするものである。


 新しく実施される移民救済策によると、現在、米国に住む西アフリカからの不法移民、推定8,000人は18ヶ月間、国外退去されることなく、滞在ができ、また就労許可を申請できるようになる。その後、国土安全保障省による審査の後、より長期の滞在許可の申請ができるようになるのである。

 


 不法移民は一時的に法的移民のステータス(temporary protected status: TPS)を取得の後、長期滞在が可能となり、アメリカ国民が納めた税金で、社会保証も受けられ、アメリカ国民で同じ権利を持つことになる。


 

 2つの異なる移民政策であるが、アメリカに渡ろうとする不法移民に示すメーセージは同じである。それは、不法移民は全て「永住権の資格を取得できる」ことである。


 

 米国の連邦政府の財政赤字は17.8兆ドルと発表されている。しかし、アメリカの財政事情を専門とするエコノミスト、ボストン大学のローレンス・コティコッフ教授は、実際の「財政ギャップ」は220兆ドルであり、GDPの8.4倍以上の借金を米国は抱えているとしている。


 アメリカは既に破綻状態であるにもかかわらず、多くの不法移民を受け入れる経済余裕はないはずである。となったら、政治的な理由しかない。経済のさらなる悪化を進めてまで、不法移民を受け入れる政治的な理由とはなにか。


 



Part2に続く