骨阻喪症の薬が乳癌細胞の成長を止める

09.09.2016

Image: ityofhope 

 

オーストラリアの研究グループによる最新の研究によれば、マウス実験で多発性骨髄腫(骨阻喪症)に効果のある薬剤の投与で、乳癌細胞の増殖を抑えられることがわかった。この薬剤は新薬ではなく認可され市販されている骨阻喪症のためのものであることから、乳癌の治療に役立つと期待されている。

 

研究グループは骨阻喪症の薬(denosumab)が、BRCA1遺伝子の変異により起きる乳癌細胞の急激な成長を阻害することを発見した。実験はまだ初期段階でマウスを対象としたものであるが、将来的には従来の薬剤投与で乳癌細胞の増殖を抑える画期的な乳癌治療法として注目されている。

 

 

BRCA1BRCA2遺伝子は正常であればDNA損傷を修復する機能を持っている。しかしどちらかの遺伝子が突然変異により、乳癌リスクを急激に増大させることがわかっている。いずれかの遺伝子が突然変異を受けた場合、70歳までに半数が乳癌を発症している。

 

突然変異により配列に損傷を受けているBRCA遺伝子を持つ女性は、高いリスク回避のために乳摘出の手術を受けるか、精密な生体検査を受け続けるかを選択することになるが、どちらの場合でも女性にとっては避けたい選択肢である。

 

 

研究グループはBRCA1遺伝子が突然変異を受けた女性から摘出された乳細胞から乳癌の前駆体となる細胞を抽出し、それらの表面に存在するRANK1(下図)と呼ばれる蛋白マーカーが骨阻喪症の薬(denosumab)の標的でもあることを突き止めた。実験室系での細胞実験で市販の薬(proliaなどのdenosumab)が乳癌細胞の増殖を阻害することが明らかとなった。

 

 

Source: proliahcp.com

 

 

このため損傷を受けたBRCA1遺伝子を持つ乳癌リスクの高い女性に投与すれば癌の予防となる。ただし現在まで実験室の細胞とマウスを対象とした実験しか行われていないので、早期に臨床試験を行う必要があるが、画期的な乳癌治療法となる期待が高まっている。