説明責任を果たせないクリントン候補

06.09.2016

Photo: bostonglobe 

 

 米FBI92日に、クリントン氏が国務長官在任中に公務で、私用のメールサーバーを使っていたことに関する同氏への事情聴取記録を含む捜査概要を公開した。事情聴取は72日に行ったもので、数多くの情報公開請求による公開である。

 

 明らかとなったことは、2012年に国務長官在任中に転倒で頭部を打撲し、脳挫傷で脳内血腫ができてから、4年経過した今日でも、20092013年の在任中の送受信したメールの内容や国務省での機密情報の扱い方、特に機密情報の送受信に関して「よく覚えていない」ことである。

 

 

 FBIの捜査概要には、脳挫傷を受けた後、医師の指示で国務省での職務は1日数時間に限られ、高官たちから受けた全ての報告の内容や機密情報の扱い方の説明について、思い出すことができない状況にあったと報告している。国務長官としての責任と任務を果たすことができない状態にも関わらず、職務を続けていたことになる。

 

 クリントン氏は在任中、13台のブラックベリーのモバイル端末と5台のiPadを使用していたが、FBIが押収したのは2台のiPadのみで、その他はなくした、破壊した、分からないと見つかっていない。押収した2台のiPadは分析の結果、ハッキングされた形跡はなかったが、回収されていないモバイル端末やiPadのメール・アカウトがハッキングを受けた可能性は高いと思われる。

 

 

「思い出せない」、「覚えていない」

 FBIの事情聴取記録によると、質問に対し、クリント氏は少なくとも39回にわたり「思い出せない」又は「覚えていない」と答えている。以下がその内容の一部である。

 

・国務長官在任中に携帯電話を使用していたか

 

ブラックベリーにデータを保存したまま、なぜ側近がブラックベリー本体をハンマーでたたいて破壊したのか

 

側近に私的アカウント、ドメーイン(clintonmail.com)を作る際の具体的な指示の内容

 

国務省からなぜ安全な公務用ブラックベリー端末が提供されなかったのか

 

国務省の外務マニュアルに規定されているeメールの取り扱い方の説明を国務省の高官から受けたか

 

国務長官在任中、私的アカウントからメールを消去するにあたって、特定の理由はあったのか

 

・ 国務省の高官や外部とのメール送受信を私的サーバーで送受信した際、安全性を疑ったことは

 

・ クリントン氏のメール・アカウントとブラックベリー端末を扱うことができた人物の特定

 

・ クリントン氏の補佐官フーマ・アベディン以外にclinton.comでアカウントを持っている人物はいるか

 

・ クリントン氏が国務省で情報の機密指定を行う権限を持っていたこと

 

・ いつ機密情報の取り扱い許可が与えられたか

 

・ 国家の機密情報の取り扱い方の説明を受けたことはあるか

 

・ 扱っている情報が国家の機密情報であったことを認識していたか

 

・ 公務用サーバーでメールを送受信した方が適切と思ったことはないか

 

・ 公務メールがハッキングされる恐れを疑ったことはないか

 

・ ドロン攻撃の標的を決める選考プロセス

 

 

 大統領候補として、クリントン氏の健康問題が注目を集めているが、これまで確認が取れなかった健康状態が事情聴取記録の公開で明らかとなった。クリントン氏自身が、2012年に転倒して受けた脳挫傷が原因で脳血腫を患っていることを説明している。明らかに健康面と精神面だけでなく、政治家として一国の大統領としてふさわしくないことを証明した事情聴取であった。