ヒトDNAに埋め込まれた古代ウイルス

25.03.2016

Photo: liberty voice

 

ゲノム統計(マイクロバイオーム)的には人間の体は単一の生態系でなく、異なる機能を持つ無数のゲノム集合体で、それらが生命活動に大きく影響する複雑系である。人間の健康状態は細胞組織の状態で決まるわけではなくそれに取り付く無数の微生物と細胞組織の関係で決まる。

 

人間の遺伝子の8%以は外来性であり、ウイルス起源のものでありこれらが人体に深く関わるため、ウイルスの遺伝子が解析されている。最新の研究(Proceedings of the National Academy of Sciences)によれば、2,500人のDNAを調べた結果、新たに19種の新しいウイルス遺伝子が見つかったが、これらの中には670,000年前の古代ウイルスも含まれるという。

 

古代ウイルスの遺伝子は完全なものではなく一部であるが、癌や自己免疫疾患など人間の病気に影響すると考えられている。しかしウイルス遺伝子の中にはほぼ完全な形で、ヒト遺伝子に組み込まれているものもある。そのような古代ウイルス遺伝子が復活する危険性がある。

 

タフト大の研究チームは完全に近い遺伝子を持つウイルス遺伝子Xq21(注1)を調べている。この古代ウイルスが人間の疾患に影響していることを見出した。それらはレトロウイルスと呼ばれるが、HIVウイルスもその一つである。時とともにDNA切断が起こり、遺伝子がバラバラになって他のDNAに取り込まれる可能性がある。

 

(注1Xクロモゾーム中に見出されるウイルス遺伝子。

 

 

その場合は元のウイルスの機能(疾患)が発現することになる。研究結果の多くが癌発生にこのような外来性のウイルス遺伝子が関わっていることを明らかにした。新しいDNA解析では古代ウイルス遺伝子を見つけ出すことが可能になった結果、19種の新しい古代ウイルスがヒト遺伝子の中に見つかった